TSL ラファエル・アルトゥニアンと対談 (2015/11/16-英語) コメント(11) 公開日:2015年11月20日 海外の動画 過去にミシェル・クワン、浅田真央、現在アシュリー・ワグナー、アダム・リッポン、ネイサン・チェンを指導しているラファエル・アルトゥニアンコーチのインタビュー動画です。 タグ TSL ラファエル・アルトゥニアン 関連記事 ラファエル・アルトゥニアン TSLインタビュー2018 (2018/8/12-英語) ラファエル・アルトゥニアン、浅田真央について語る (2016/4/8-英語) TSL アダム・リッポンと対談 (2015/11/3-英語) エリック・ボンパール杯でフランク・キャロルコーチを直撃 (2015/12/1-英語) ネイサン・チェン TSLインタビュー (2015/7/30-英語) アシュリー・ワグナーvsグレイシー・ゴールド TSL対決 (2015/12/7-英語) TSLの中国杯おさらい (2015/11/8-英語) 宇野昌磨 シニア氷上練習・2015/2016シーズン新プログラム (2015/8/9) 投稿ナビゲーション 熱心な日本のフィギュアスケートファンとマスコミ (2015/10/29-英語)エリック・ボンパール杯でパトリック・チャンのコーチを直撃 (2015/11/20-英語)
“TSL ラファエル・アルトゥニアンと対談 (2015/11/16-英語)” への11件のコメント
遅くなりましたが、興味深い内容なので和訳を投下します。大意に影響無い部分は略しています。J=ジェニー、R=ラファエル、D=デイヴ。
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J: ラファエル・アルトゥニアンにはフィギュアスケートの歴話がある。かつてコーチした才能ある多くの選手には浅田真央、ジェフリー・バトル、サーシャ・コーエン、ミシェル・クワンらがいる。現在、2015年全米チャンピオンのアシュリー・ワグナー、全米銀メダリストのアダム・リッポン、期待の新星ネイサン・チャンやハンナ・ミラーらのヘッドコーチを務める。私達は9月、LAにラファエルと選手らを訪ねた。これは2015年9月24日に記録したラファエルとの会話である。
ミシェル・クワン
R: 彼女をコーチするのはオバマ大統領とオフィスにいるみたいだった。有名人で楽しくて…。賢い子で賢いスケーターだ。コーチしていてとても興味深かった。私は何かの役には立ったと思うが、それはミシェルが話す事。彼女からアメリカ人のスケーティング心理を学んだ。私の国とは少し違うんだよ。アメリカには優れたスケーターがいるが、本当に優れた人は基本的に自力でうまくなれる。コーチはあまり必要無い。自分自身と親と精神力と情熱が基本。これがアメリカのスケーター。ロシアはちょっと違う。ロシアで25年働いたが、親よりコーチの関与が大きい。何かの生産工場のようだ。毎分スケーターを生産する。デトロイトで車が毎秒作り出されるみたいに。スケーター生産工場だ。アメリカは言わば手作り。父親以上にミシェルのスケートに関わった人って誰だと思う?私からの質問だよ。
D: フランク(キャロル)かな。いやでも父親以上ってことは…。
(2. に続く)
(2. 続き)
R: そこだよ私が言いたいのは。フランクは誰よりも打ち込んでいた。私は足元にも及ばない。ミシェルの傍で2年半、出来る限りの事はしたが、フランクに比べると…。フランクは彼女を作り上げた。だが父親は大層熱心だった。ジェニーに熱心だったのは誰だか知らないが…。
D: 母親です。
R: 母親ね。親が関わり過ぎると非難する人がいるが、なぜ非難するのだろう。例えば、サーシャ・コーエンの母親が関わり過ぎるなどとなぜ責めるのか。5歳の頃からあらゆるアイスリンクに連れて行ったり買物したりあれこれやって。誰よりも熱心だった。私もサーシャの調整に少し関わった。「ラファエル、サーシャのジャンプを見てくれる?」と私を雇ったのは母親だよ。私が手伝ったのはほんの少し。なぜ親を責める?スケーターの育成に関わっているのは我々より親なんだよ。
アシュリー・ワグナー
R: 今季、間違いなく良くなった。自慢だよ。彼女の年齢で上達するスケーターはあまりいないからね。誰か思いつくかい?私は思いつかない。殆どは、以前のままか劣化する。今季、アシュリーが私とやっていることを誇りに思う。彼女のことも私自身もね。進歩した。どこまで行けるかは彼女次第。ある地点に到達するとそこをベースに頂きをアタックする。頂きにまたベースを作りさらなる頂きをアタックする。そしてまた次の頂きへ。アシュリーは今、再びトップ6をアタックするベースにいる。しかし一日怠ればトップ6にも入れない。毎日誰かが上がって来るからね。昨日はアデリナ・ソトニコワ、今日はラジオノワ。タクタミシェワ、メドベデワ。他にもいる。日本人選手もいる。
(3. に続く)
(3. 続き)
R: フィギュアスケートの世界は変わり、育成選手も若くなった。私なら二つのグループに分ける。18歳までと18歳から。私に言わせれば、競技に参加できない年齢は14歳じゃない。24年前は14歳だった。私なら18歳を境にする。そしてこう言う。望むなら18歳までジュニアでいればいい。世界チャンピオンに3回なれる。かなり難しいが、5回も可能だ。18歳を過ぎてからシニアになればいい。それが私の見解。ミシェルに話を戻そう。彼女がタラ・リピンスキーに負けた時、タラは14歳だった。その後、年齢が改正され、浅田真央は五輪に出られなかった。なぜ14歳?なぜ15歳なのか?と問いたい。18歳こそ女子が心身ともに充分発達する年齢でありシニアにふさわしいのだ。分かるかい。すごくシンプルだろう?
D: 練習で跳んだLo-1/2Lo-Sについて。
R: アシュレーはサルコージャンプをクリーンに着氷できるようになって来た。コンビネーションは二つとも前よりクリーンだし安定している。常に技術とコンディションにはバランスが必要。技術だけでもコンディションだけでもだめ。バランスが大事。コンディションが良いと技術も良い。技術があってもコンディションが悪ければ出来ない。
D: 昨年の世戦は表彰台に上がれると思った?
R: 思わなかった。惜しかったがね。アシュリーは全米では良かったが、世戦まであまり練習ができなかった。12月まで元気だったが、その後、疲労で調子を崩した。運動選手に大切なのは、シーズンを通していかに調子を維持できるかだ。一昨年は、グランプリ2大会まで調子を保ったが、後は崩れて全米はうまく行かなかった。今季は全米まで維持できて良かった。来年はずっと調子を保ち、上げていけるといい。尻上がりにね。
(4. に続く)
(4. 続き)
アダム・リッポン
R: 彼は何をすべきか分かっていると言う。4Lzをモノにしつつあるのはとても良い。4回転をもっと入れたい、まだできないと言うが、彼ならひとつで充分闘えるだろう。トップ6を狙える。昨季はトップ6さえ逃した。前進するのは表彰台に近づくにつれ難しくなる。 トップ20、トップ10、トップ6、トップ3。一位に近づくにつれ歩を進めるのが難しくなる。
D: アダムが成功するには何が必要?
R: 選手達はみんなとてもいい人だ。だから彼らのコーチをしている。ただ、彼らがもっと若い頃、もっと良い教育を受けていればと思う。これ以上は触れないが、若い頃もっと良い教育を受けていれば、今、問題はもっと少なかっただろう。
ネイサン・チェン
D: かなり練習熱心だが、故障を避けることと上達のための練習はどうバランスを取っているか。指針は?
R: 選手はコーチと常に話しをすべきということ。親の話に戻るが、彼がまず親に話し、私は2番目だからと言ってそれを責められるだろうか。子供の頃私が関わっていたわけではないし、母親が常にそばにいる文化で育ったのだ。疲れたらまず母親に訴える。母親は私にそれを伝えるか?ノーだ。疲れたらコーチに言えと母親が彼に言うか?ノーだ。こんな具合にコミュニケーションがうまくいかず疲労が伝わらない。私の仕事は練習させること。彼は疲れたと言わないし、ライトが点滅して「エンジンをチェックして下さい」と知らせる装置がついてるわけじゃない。元気だと思ってコーチしていると、故障する。
(5. に続く)
(5. 続き)
D: 国際試合でネイサンをジュニアとして出場させた理由は?
R: 今どきのジュニアはシニアより強いと思うからだよ(笑)。彼に楽をさせたくないんだ。第2の理由は、全米ではシニアとして出場できるし世戦にも行けるから。シニアグランプリ参加がジュニアグランプリに比べそれほど優るとは思わない。ジュニアグランプリは最難関を選んだ。その逆も選べたが。ロシアのメディアになぜ難関を選ぶのか問われ、こう答えた。ファイナルでトップ6を狙うならどのグランプリに出るかは問題じゃない。ファイナルに出たいなら何も怖れないことだ。儲けるのは誰だ?トップ6だ。良い演技をするのみ。
アダムとネイサン
R: お互いに切磋琢磨している。どっちがどっちを奮起させるのかは分からないが…時にはアダムがネイサンを奮起させるかな。アダムがルッツを成功させるとネイサンもやらなくちゃと思う。どっちがどっちをっていうのは疑問だね。やはりお互いだな。こうしてお互いを刺激し合う選手がもっといればいいと思う。お気に入りの選手はいない。ただ敬意を持っている。好きという感情は無い。そういった感情は親が持つものだ。親は彼らを愛し、コーチは彼らに敬意を払う。親がコーチになるのは完全に間違っている。母親や父親をよく知る事でひとかどの人間になるのだ。息子はスケートが大変得意だった。妻が選手にしようと連れて来たが断った。息子は愛したい。だから教える事はできない。選手達は好きだよ、愛してはいないが。敬意を持っている。どの選手にもだ。ネイサンであろうとアダムであろうと。新しい選手が来ると敬意で迎える。選手と私に関して他の哲学は持ち合わせていない。
(6. に続く)
(6. 続き)
ハンナ・ミラー
R: 彼女の技術面をコーチしている。ハンナの元コーチと話し合う。ありがたい事にまだ関わってくれているからね。ハンナの大会に帯同し手伝ってくれる。私はハンナの技術的問題点を修正している。すぐに結果を求めたりはしない。直すべきところが多いので。ハンナはよくやっている。彼女やご両親や協会が協力的で時間を少しくれるなら2年後には結果を出したい。幸運を祈ってくれ。
J: ハンナ・ミラーは今季初のシニアグランプリ大会で10位。今週末、ロシアで第2戦に参加。同じく、第1戦スケートカナダで4位のアダム・リッポンもロシア大会に参加。ネイサン・チャンはジュニアグランプリの2大会で優勝。この冬、ジュニアグランプリファイナルに参加する。アシュリー・ワグナーはシニアグランプリ第1戦で勝利を持ち帰り、今月末、日本開催のグランプリ第2戦でファイナル出場を決めたいと願っている。
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ラファエル・アルチュニアンのコーチ哲学が独特です。親がコーチをすることに関しては賛否両論あるでしょうね。とても控えめな所と大胆なところが混在していておもしろい方だと思いました。
誤訳など気付いた方は修正して下さるとありがたいです。
FSF様翻訳ありがとうございます、
大変興味深く読ませて頂きました。
選手達がコーチを替えるのは自分に一番スタイルがあったコーチを追い求めているんですよね。コーチもまた自分の理想とする選手を追い求めているのかもしれません
アルトゥニアンコーチがこういった理念の持ち主だとはこの記事で初めて知りました。
真央ちゃんのコーチからいきなり外れた時、ファンは吃驚したのですが
何か事情があったのでしょうね。
タラソワさんは教え子を愛している、アルトゥニアンは敬意で接する。
色んな形があるものですね
18歳か、オリンピック前年、ソーディープから月の光、仮面、ポルウナ、シングシングシング♪最も苦しい時に最も成熟を見せた浅田真央、と思う。
たまに、花道にいるアルトゥニアン氏と眼が合うことがあった。真央選手を、有難う!これからも・・の思いで心から微笑んでしまう。
ソチ前のアシュリーが、技術指導を彼に頼んでから、本当に得心して練習に励んでいることが分かった。
翻訳も本当にありがとうございました。
FSF様。翻訳ありがとうございます~。
ラファエルさん、見た目が強面でなく、中身も硬派!
TSLのデイブとジェニーのおかげで、なかなか知る機会のない海外のコーチやスケーターのインタビューを聞けてどんな人なのかとかどんな考え方をもっているのか知ることができるので感謝してます。
ワールドクラスの大会も一層楽しくなります。
このスレッドも探していてやっと発見。
9番様のリレーのおかげです。
いつも訳ありがとうございます。
しっかり楽しく読んで改めてコメントしたいです。
真央さんがコーチから離れた当時のいきさつは何となく聞いてます。
コーチ側からも事情がよくわからず、しかしのち事情が(間接的に?)
わかり~のいきさつもこれまた皆さん情報から。
アルトゥニアン・コーチも両極端なロシア、アメリカ、そして日本など
国別気質やスタイル、はてまた親御さんなど熟知にちかい貴重な方の一人のようです。
大興奮の NHK杯、GPF(2015年)も終わりました。
次の全日本まで時間があるので
じっくりTSL関連、再訪の楽しみ増えました。
それにしても訳の量が半端でない、読み手側はありがたいですが~。
水面下で浅田選手が行くべきはこのコーチの声が
読者よりのコメントで。私も真央さんがもっと若ければ選択肢の一つと思う。
古巣だし何より日本を出た方が専念できる・・・第三者にはわかりません。
コーチと選手、親御さんとのマッチング、今さらながら色々あるようです。
ガラッと環境、変えるも経済的、物理的に可能ならおすすめですね。
「本当に優れた人は基本的に自力でうまくなれる。」この力を引き出せるのもコーチ。
荒川さん、コストナーもコーチ変更で後の活躍。
荒川さんは同じ氷上にたって実際に滑ってくれる人をあげていた。
羽生選手のカナダ行きは絶妙のタイミング。
もっともあそこへ入っても離れる人もいるのでさまざま。
本を出してる方も国内外おられますが
アルトゥニアン・コーチも有名選手数多く手がけ
著書があれば読みごたえありそう。
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