カナダの元フィギュアスケート選手が運営するポッドキャスト番組「The Blade Boys」で今シーズンの女子シングルの注目選手・展望について語った動画です。映像は「The Blade Boys」のYouTube公式チャンネルで公開されたものです。
各解説者が挙げた注目選手はこちら。
- テッド・フレット氏(左)
- 本命 エフゲニア・メドベデワ、宮原知子
- チャレンジャー 浅田真央、アシュリーワグナー
- ダークホース グレイシー・ゴールド、カロリーナ・コストナー、その他ロシア選手
- Mith Das氏(右)
- 本命 エフゲニア・メドベデワ、宮原知子
- チャレンジャー アンナ・ポゴリラヤ、エレーナ・ラジオノワ
- ダークホース アシュリー・ワグナー、ガブリエル・デールマン
“The Blade Boys 2016-2017年シーズン女子シングルプレビュー (2016/11/28-英語)” への8件のコメント
管理人様、動画のご紹介ありがとうございます。トークの内容を簡単にまとめてみましたので、記載させていただきます。訂正や補足などありましたら、是非お願いいたしますm(__)m
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□本命(Ted・Mith)メドベデワ/宮原
現世界女王のメドベデワは、今シーズンもここまで素晴らしい戦績。FSの『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は異例のチョイス。重いテーマだ。リプニツカヤの『シンドラーのリスト』も重かったが、赤いドレスの少女を上手く演じた。昨年のプログラムもそうだったが、マイナーな曲を恐れないのはいいことだと思う。昨シーズンからつなぎや表現力に向上が見られ、自信が窺える。体形変化は窺えない。宮原は体形変化したが、ジャンプをキープしている。両者とも信じられないほどジャンプの確実性が高い。メドベデワの3-3は素晴らしく、練習ではいくつでも続けて跳べる。SP・FSともに難度の高いジャンプを後半に配置している。ジャンプのスピード・高さ・弧の描き方はグレイシー・ゴールドに及ばないが、メドベデワは確実に決めることができる。回転不足もなく、タノでGOEを稼げる。点数ではユナ・キムを上回ったが、スケーターとしてはキムの域に達していない。だがジャッジの高評価は今シーズンも変わらず続くだろう。まだシニア2シーズン目だから、ワグナー・浅田・キム・コストナーなどの芸術的に成熟した選手と比べるのは意味がない。ロシアには年齢に相応しくない大人びたプログラムの選手もいるが、メドベデワは今自分ができることを表現している。エテリは教え子に合わせた独特な選曲に長けている。今シーズンもメドベデワが他を圧倒するだろう。彼女に対抗できるとしたら宮原だけだ。身長が伸び、ジャンプも大きくなっている。素早いジャンプなのは変わらないが、回転速度の速さに頼らなくなった。まだプレロテのジャンプもあるが、それが演技の素晴らしさを損なう訳じゃない。今シーズンは2A-3Tから3Lz-3Tに戻し、最高難度のコンビネーションを跳べると示すことで、メドベデワの3F-3Tや3S-3Tに対抗している。2015年のワールドで予期せぬ銀メダル、2016年は回転不足の判定でメダルを逃し、ジャッジの公平性について議論をよんだ―「彼女は表彰台に『ありえないほど近』かった」って。
□チャレンジャー(Mith)ポゴリラヤ/ラディオノワ
ポゴリラヤは長年氷の女王のようだったが、昨シーズンから熱いものが感じられるようになった。ワールドでは念願のメダルを獲得。ロシアの二番手としての自信が出てきた。スピンはもう少し改善できる。今の彼女にはハングリー精神を感じる。ワールドのSPでメドベデワを上回る2位につけた時、激しさが見えた。ひどい失敗をしていた頃とは明らかに違う。一度の試合だけで今シーズンのポテンシャルを計ることはできないが、トップ選手の一人だ。
飽和状態のロシアを戦い抜いているという点はラディオノワにも通じる。昨シーズンから絶好調とはいかないが、常に競争力がある。ただ、彼女に合ったプログラムが必要。ジュニアっぽさをなくせば、ジャッジに評価されるようになると思う。昨年はラディオノワvsメドベデワの年になると期待していたが、『タイタニック』の解釈はやりすぎだった。ワールドで6位という結果は、彼女の立ち位置を反映していた。昨年のロシア杯でメドベデワに勝った時、本人も予想していなかったようで喜んでいたから、2014-15シーズンとは状況が違うと自覚しているのだろう。ロシアでは少しでも隙があると、他の選手にとって代わられる。まるで血のあるところにサメが寄ってくるかのようだ。無敵だった頃のようにはいかないが、彼女はいつも試合を楽しみ、演じ、ジャンプをあきらめないファイターだ。スピンも上手い。彼女をチャレンジャーに選んだのは、そのため。成熟した演技ではないし、腕の使い方にも難があり、ジャンプのGOEもメドベデワに及ばない。だが、まだ彼女に期待している。
□チャレンジャー(Ted)浅田/ワグナー
浅田は昨年の復帰当初は順調だったが、その後下降線をたどった。ワールドの後、現役を続けるのかどうかと思ったが、2018年を見据えていると宣言した。彼女の精神はまだ折れていない。これまでにも調子の悪い時期はあったから、今が過去最悪という訳ではない。何度もカムバックを果たしてきた。練習ではまだ3Aを回りきっているし、試合で成功することもあり、あきらめていない。回転不足は未だ課題として残るので、対策を続けてほしい。昨シーズンはSPの3-3でずっと回転不足を取られたので、ワールドでは確実性の高い3-2でGOEを狙った。彼女は戦略的な選択ができる。まだ彼女の競争力を信じている。
ワグナーは昨シーズンのワールドで新たな高みに達し、その地位を確固たるものにした。銀メダルは彼女に相応しい結果だったと思う。FSでは素晴らしいPCSでジャンプのミスを帳消しにした。続くチームチャレンジカップでも力強い演技だった。今シーズンのFSはかつてジェレミー・アボットも使った曲だが、ヴォーカル入り。いつもと違う、彼女の悲しげで魂のこもった側面を見ることができる。パトリック・チャンもそうだが、ワグナーは多少のミスがあっても演技を推し進めることができる選手。一つのミスが雪だるま式に膨らんでしまうゴールドとは違う。
□ダークホース(Ted)ゴールド/コストナー
ゴールドは今でも主力選手の一人。ソチでは5位、2015・2016ワールドでは4位。彼女の才能からすれば、もっといい結果を残せるはずなのに、SPとFSを揃えることができない。自分の才能や技術に自信を持つべき。予期せぬことが起こると集中力を欠いて、残りのプログラムをやり遂げることができなくなる。ボストンワールドのFSでも、ミスの後まとめればメダルのチャンスはあったのに、できなかった。「私は特別な存在、チャンピオンの資質がある、世界一のジャンプを跳べる」などと自分で思い描き、それを実現することが必要だ。3Fのエッジなどに気を取られていてはいけない。ワールドのSPでは素晴らしい演技で76点台を出した。オリンピックやワールドメダリストでなくても、良い演技をすればジャッジは彼女に惜しみなく点を出すことが示された。他のアメリカ選手、例えば長洲未来もダークホースになりうるが、浅田と同様回転不足を抱えている。Mithがこの二人をダークホースに含めなかったのは、回転不足で点数を引かれると、難しいジャンプを跳んだ甲斐がなくなってしまうから。アメリカではワグナー・ゴールド・エドモンズの3選手が他と一線を画している。エドモンズは国内の地位は確立して、これから国際的な評価を高める段階にある。長洲や他の選手は何とかして割って入ろうとしているが、難しい。エドモンズはもしGPSに出場していたら要注意選手で、Mithは彼女がファイナルに進出したとしても驚かない(Tedは驚く)。
コストナーはGPSには出場していないが、ヨーロッパ選手権とワールドには出るかもしれない。ジャンプの練習を続け、ツアーに参加しているようだ。ミーシンのトレーニング・キャンプに入っているとも聞く。まだメダルが狙えると思う。イタリア女子には長い空白期間があるから、彼女の復帰が待ち遠しい。
□カナダ女子について
昨シーズンはカナダ女子がGPSでメダルを取るとは思えなかったが、今シーズンは違う。デールマン(Mithのダークホース)はチャレンジャーシリーズで素晴らしいSPを披露。今シーズンの3-3は過去最高の出来。GOEでたくさんの+3がついた。彼女にとって、カナダ女子の一番手を目指す年。競争心のある選手。オズモンドは3Loを入れて5種7トリプルの構成ができるようになった。ジャンプ・スピード・氷上での存在感は格別。すべて成功させたら世界のトップ5に入れる選手だが、何が足りないのだろう。カナダは男子・ペア・アイスダンスが強いため、女子の注目度が低いのではないか。彼女にパトリック・チャンと同等のサポートを提供したら、すごいことになるだろうか?ジョアニー・ロシェットの時を思い返すと、そんなに甘くはないだろう。ロシェットは試合で着実にジャッジの評価を積み上げたことが、ワールドとオリンピックのメダルにつながった。オズモンドは怪我のせいでそれができておらず、彼女の足を引っ張っている。
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以上ですm(__)m 割愛してしまいましたが、最後の方で「ロシア選手はシニア9名が皆ダークホースになりうる上、ジュニアも控えている」という話と、注目のジュニアとして、8トリプルを成功させた紀平梨花選手のお名前が出ていました。
カナダ女子に対する思いにはやはり熱いものがあるようで、Mithさんはデールマン選手推し、Tedさんはオズモンド選手推しのようでした^^
皐月様、有難うございます!
このblogは、管理人様はじめこのような優秀な方たちの協力があって、素晴らしい内容になっています。コメント欄で学習もできます。海外のプロフェッショナルの人達の興味深い意見を大変だったと思いますが、時間と労力感謝します。真央ちゃんや知子ちゃんの名前が出てるのが嬉しい。日本は男子はトップで女子もジュニアシニア入り乱れてという感じですごいことになっています。見ている我々もそうですが、海外からは、世界でいちばんのフィギュア立国なのではないでしょうか。観客動員数とファンの熱心さは、世界で一番でしょう。これからどうなるでしょう。ナショナルもそうですが、国際大会も目が離せませんね。翻訳うれしかったです。他の方もですが、無理はなさらないでくださいね。それでもできるときには本当に感謝感謝です☆
皐月さん いつもありがとうございます!
こんなに長い会話を聞き取って文章にするのは、相当の時間と労力を要したことと 感謝いたしております。
私など、日本語の会話の文字起こしをやれと言われても 一体どれだけの時間がかかるかことやら…(^^;
大変ありがたいですが、どうぞ無理のない範囲でお願いいたします。
有力な選手として 日本人選手の名前が出てくるのは 嬉しいですね。
私は、宮原選手の演技は スポーツとしてのフィギュア色が強い北米では あまりウケが良くないんだろうかと 昨季の序盤は少し心配していましたので、ちゃんと評価が上がってきているのが嬉しいです。
真央選手についても まだまだそのポテンシャルは高く評価されていて、もはやレジェンド的な選手だもの そうだよね、と頷いてしまいました^^
自国の選手だから カナダ女子の評価や期待が高いのは当然だと思いますが、私も 今季特に 急激に上手くなったと思うのが デールマン選手。GPS表彰台にはあと一歩届きませんでしたが、今後に期待しています。
コストナー選手も復帰間近、エントリーしているゴールデンスピンは 裏ファイナルかと思うようなメンバーで、とても楽しみです^^
to-ta様、
ご丁寧にありがとうございます^^こちらのブログのコメント欄は皆様本当にフィギュアスケートにお詳しく、それ以外の分野にも造形が深くて、すごいなぁと思います。熱心なファンの方にとっては、正直このプレビューの内容は目新しに欠けるような気もしたのですが、自分の勉強にと訳してみたので、投稿させていただきました。長文にもかかわらず読んでいただけて嬉しいです。
Da Capo様、
こちらこそ、いつもありがとうございます^^宮原選手について、Mithさんが「athleticismを感じるようになってきた」と言っており、Da Capoさまのおっしゃる北米のスポーツ色の強さと重なるように感じました。カナダ女子についてはトークの熱さが違った(笑)ので、やはり自国からトップ選手が出てほしいのが本音なのだろうな、と感じました。
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