デヴィッド・ウィルソン TSLインタビュー (2016/12/5-英語) コメント(10) 公開日:2016年12月6日 海外の動画 振付師デヴィッド・ウィルソン氏のインタビュー動画です。映像は「TheSkatingLesson.com」のYoutube公式チャンネルで公開されたものです。 タグ TSL デビッド・ウィルソン 関連記事 TSLインタビュー デビッド・ウィルソンが羽生結弦、ハビエル・フェルナンデス、パトリック・チャンについて語る (2016/4/1-英語) TSLインタビュー デビッド・ウィルソンがキム・ヨナについて語る (2016/2/28-英語) ミシェル・クワン TSLインタビュー (2016/1/6-英語) 長洲未来[ミライ・ナガス] TSLインタビュー (2016/3/16-英語) 安藤美姫&ハビエル・フェルナンデス TSLインタビュー (2016/6/22-英語) TSLインタビュー トレイシー・ウィルソンが羽生結弦とキム・ヨナについて語る (2016/2/14-英語) デビッド・ウィルソン パトリック・チャンの2015-2016シーズン復帰について語る (2016/5/6-英語) ナム・グエン TSLインタビュー (2015/8/24-英語) 投稿ナビゲーション エテリ・トゥトベリーゼ Golden Skateインタビュー (2016/11/17-英語)パトリック・チャンvs新しい世代のスケーター達 (2016/12/7-英語)
“デヴィッド・ウィルソン TSLインタビュー (2016/12/5-英語)” への10件のコメント
男女シングルに関する部分をまとめてみたので、投稿させていただきます。中国杯の直後にインタビューをしたため、中国杯の出場選手が話題になっているようです。訂正や補足などありましたら、ぜひお願いいたしますm(__)m
□ハビエル・フェルナンデスのFSについて
ちょうど一年前、日本のノービスの選手にエルビスの曲を振付けた。それまで個人的にはエルビスのファンではなかったから、ヒット曲を一通り聴き、エルビスの大ファンである親戚の意見も聞いて勉強した。その過程でハビにぴったりだと思う曲にめぐり合った。それがFSの一曲目(『トラブル』)だ。偶然その次のトラックが『フィーバー』だった。今シーズンのプログラムを決めるに当たり、この2曲をブライアン(・オーサー)とトレイシー(・ウィルソン)に提案し、ハビと話をした。ハビもこのアイデアを気に入って、プログラムをまとめるのに三曲目をどうするかということになった。『監獄ロック』を選んだのは、時代背景がやりたいことに合っていると思ったから。『トラブル』はブルース調だが、『監獄ロック』はエルビスが映画スターとして活躍し始めた頃の曲。ハイカラーのジャケットに大きな金色のベルトをした初期のエルビスが、ハビに合っていると思った。
ハビは僕のアイデアに食いついてくれる。5年間一緒にやってきたが、行き詰まったことはない。彼は素晴らしい人で、とても優しい。自分のキャリアをとても真剣に考え、悩んでいる。一生懸命に身を注いでいる。僕が彼の中に見出しているものを、ハビ自身もわかっているようだ。彼はカリスマ性を持ったごくわずかなスケーターの一人。昔のスケーター、例えばカート(・ブラウニング)みたいな所がある。天性のパフォーマーで魅力にあふれている。僕はその魅力を受け止められるような曲をいつも探している。心配だったのは、エンターテイメントと芸術性の兼ね合い。名プログラムで成功した翌年はフォローアップが難しい。プログラムを通してヴォーカル入りの曲を使うのは初めての試みだったが、いい挑戦だと思った。ヴォーカル入りの曲は好きだ。音楽のフレーズや感情の起伏に加え、歌詞の意味に合わせて振付けられるから。ただ、他の選手はドラマティックでシリアスなプログラムだろうから、それと対峙するのにどうかと思った。ショーのような楽しいプログラムだけど、ストーリーがあり、真剣に取り組んでいる。だからこのプログラムが真面目に評価されて嬉しい。
□パトリック・チャンのFSについて
ハビとは全く違ったプログラム。上手くいっているようで嬉しい。子どもが何人かいたら愛情に差がつけられないのと同じで、全く違うタイプのスケーターについてどちらが上とは言えない。ただ、どちらのプログラムもそれぞれに合っていると思う。直接対決が一番わかりやすい。その時にベストな演技をした選手が報われるから。
―今シーズンのパトリックをどう思いますか。昨年の復帰シーズンはSPに苦しみFSで巻き返すという展開で、僕たちをハラハラさせました。今シーズンはムラがなく落ち着いているように見えますが、昨シーズンとの違いは感じますか?
彼の進歩にはワクワクさせられる。25歳は決して高すぎる年齢ではないが、この年齢で4Sや3A二本という新しいことに取り組んでいるのは称賛に値する。年を重ねれば重ねるほど、成功するのは難しくなる。若い選手は挑戦する立場だから、まだリスクがない。長い間トップにいる選手がその地位を守るのは難しい。彼のことを誇りに思う。自分自身に挑戦し続けてほしい、君の姿を見るのは楽しいから、と伝えた。彼の4Sを見たことはないが、ゴージャスだと聞くし、練習ではよく決めているようだ。これまでに2試合で挑戦していずれも転倒したが、残りのプログラムはまとめた。昨シーズンは苦しんだが、復帰して新たな現実に直面したということなのだろう。
―中国杯では、PCSでボーヤン・ジンを大幅に上回って勝ちました。あなたの振付師としての見解を伺いたいのですが、クワドを2本・3本・4本と増やすと、プログラムでできること、スタミナ、盛り込める繋ぎやステップの数にどの程度の差が生じますか?クワドが4~5本入ったプログラムの中には、一般的で他と似通ったものも見られます。振付師としてこのことにどう対処しますか?
スケーターやその得意分野に合わせて、様々なことができる。振付師の仕事とは、技術的な要素をつなぎ合わせ、それに意味を与えること。そこには音楽との繋がりがある。シンプなものでも、魅力的で意図を持ったものになりうる。一般論を導くのは難しい。直前まで振付がある方がジャンプを跳びやすい選手もいるし、コントロールされた準備動作が必要な選手もいる。賢さと音楽に対する感性があれば、その両方を活用できる。一番よくないと思うのは、気まぐれな腕の動きとターン。散らかった部屋みたいなのはダメだ。ビジョンと目的意識を持ってデザインされていなければならない。今の採点システムは、量的に測れないものを点数化するためにつくられた。「ここにチョクトーを入れれば●点稼げる」などといって、詰め込みすぎないようにしなくてはならない。昔からそうだったように、音楽に合わせて美しいスケートをすることに尽きる。長い目で見れば、トータル・パッケージで美しく滑った者が勝つ。ただ試合によっては、成熟した選手が不調で、高難度ジャンプをたくさん跳んだ若い選手が勝つことも当然ある。いつの時代も、限界を押し上げる若手と、トータル・パッケージのベテランとのせめぎ合いだ。19や20歳の選手が4Lzや4Fを跳ぶのには訳がある。前線に送り込まれるのはいつだって熱意のある若手だ。勝つためにこれらのジャンプが必要かどうかは、これからわかるだろう。ユヅが4Loを入れたから、ハビも必要になるかもしれない。ジャンプは【アクセル・サルコウ・トウ】と【ループ・フリップ・ルッツ】に分けられる。グループ内のどれか一つクワドが跳べれば、他の2つも大抵跳べる。4回転するのには変わりないでしょ(これを聞いたデイヴは疑問の表情)。
□マックス・アーロンの『ライオン・キング』をどう思うか
全体を観てはいないが、所々いいフレーズや斬新な動きがあって、素晴らしいと思う。僕は自分の振付の仕事に専念しているから、自らがかかわった作品以外を批評するのは好まない。他のプログラムが好みかどうかと考えるのは、プライベートな時間にすること。彼がこの曲で滑りたいと思った、そのこと自体が素晴らしい。好きな曲で滑ればいいと思う。
□ケイトリン・オズモンドのGPF進出について
素晴らしいことだ。彼女の自信を後押ししてくれると思う。アレイン・チャートランド、ガブリエル・デールマン、ケイトリン・オズモンドという素晴らしい選手のうち、今年は2名しかワールドに出場できない。3名ともナショナルで優勝した経験を持ち、3名ともジャンパー。すごい戦いになると思う。君は(中国大会の)アシュリー・ワグナーの回転不足について話していたが、彼女以外も回転不足を多くとられていたね。
―天野真は厳しいコーラーなので。アシュリーのジャンプは普段より少し小さかったように思います。アメリカ大会の後少し休んで、シーズン後半にピークを合わせるよう調整してきたようですが、GPF進出が犠牲になりました。
とても残念だ。アシュリーは素晴らしいパフォーマーでジャンプ以外でも魅せられるから、辛かっただろう。多くの女子選手がギリギリのところで3-3を跳んでいるから、ふとしたことで回転不足になりやすい。アレインは少し回転不足の癖があるが、ケイトリンとガブリエル、それにトゥクタミシェワはとてもクリーンなジャンプを跳ぶ。僕には回転不足かどうかほとんど見分けがつかない。自分が思ったのとジャッジの判定が違うこともよくある。コーラーにはなりたくないよ。
□オリンピックシーズンを控えて
もう来シーズンのことを考え始めている。いつも一年先のことを考えているよ。誰を振付けることになるかはわからないが、自分が振付けたい曲という観点でアイデアをストックしている。ヴォーカル入りの曲が許可されるようになって、大変。楽器だけの曲を探す癖がついているから。何でも使えるというのは楽しくクールで、物事を容易にする場合もあるが、自由度が高すぎて恐ろしくもある。
―韓国での開催ですが、オリンピック招致に一役買ったユナ・キムは、オープニングに登場すると思いますか?個人的には彼女のイナバウアーが観たいですが、どれぐらいの圧力が必要でしょうか?
ユナとはしばらく連絡を取っていないからわからない。もし僕が企画するとしたら、もちろん彼女を起用するが、主催者とは何のつながりもない。もし暗闇の中で彼女が上から降りてきたら、面白いよね。
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以上です。その他にはウィルソン氏が振付を手掛けたアイスダンスのバーチュー・モイア組と、ペアの于・張組の話題が出ていました。
皐月 さん、和訳をありがとうございます。
とても興味深い内容に充ちています。特に若手とベテランのせめぎあい、の件はウィルソンさんならではの見方と思います。
しかし、男子は何才以上をベテランというのでしょうか。何才未満を若手というのでしょうか。
若手は20才未満、ベテランは25才以上でしょうか。
ファイナル出場選手でいえば、チェン選手と宇野選手は若手、羽生選手は中堅、フェルナンデス選手とリッポン選手とチャン選手はベテランになりますか。
女子は概して若手有利と思いますが、男子の場合は若手も中堅もベテランも拮抗して戦えるように思います。それだけ男子の方が見応えがあると私は思っています。
パトリック・チャン選手についてのウィルソンさんのコメントは近くで見て来た為か、実感のこもった素晴らしいものです。
日本のノービスの選手がウィルソンさんに振り付けを頼んでいたとは非常な驚きです。そういう時代になったのですね。
皐月さん、
長いインタビューを綺麗で読みやすい文章で簡潔にまとめて下さり、ありがとうございます。とても参考になります。
一点だけ。
>ハイカラーのジャケットに大きな金色のベルトをした初期のエルビスが、ハビに合っていると思った。
ハイカラーのジャンプスーツに大きな金色のベルトを「つける前」の初期のエルビスが、ハビに合っていると思った。と言ってますね。
…he was a movie star and it was before the whole jumpsuit with the big high collar and the big gold belt…
ウィルソン氏がペットのワンちゃんに翻弄されている姿に笑ってしまいました。どちらが飼い主だかわからない関係ですねw ウィルソン氏、痩せましたね。前より若く見えます。
エテリ・トゥトベリーゼのインタビューをまとめましたので、よかったらご覧ください。
ヒッコリー様、
ご丁寧にありがとうございます^^
FSF様、
長文を読んでくださってありがとうございます。そして訂正まで、本当にありがとうございました。あの衣装より「前の」エルビスだったのですね…納得です!若干の違和感を感じつつ、間違ったフェルナンデス選手をイメージしてしまっていました(^^;
ちょうど入れ違いで、エテリコーチの動画を観て参りました。いつもありがとうございます^^
ファイナル前の緊張をほぐそうと飛ばし飛ばし聞きました。人気振付師の視点から現状を語っていて興味深かったです。こちらできちんとまとめて下さったものを拝見できてありがたいですね。甘えん坊の飼い犬に邪魔されて、時々わけが分からなくなりましたし。
ウィルソンのシンパシーはやはり「トータルパッケージ」を重視するディフェンダー二人にあるようですね。語り口に親愛の情があふれていました。一方で、若いチャレンジャー(young boys)が高難度ジャンプ中心のプログラムで挑んでくることに対しても十分に理解を示していて、フェアな見方をする人だと感じました。
私見ですが、、二つの層の中間に位置する羽生選手は、まだまだチャレンジャーでいられる年齢だし、これまでの実績を考えれば当然ディフェンダーでもあるわけだから、戦略的な選択肢の幅は両者より大きいという事になりますね。
あと中国ペアについて、、NHK杯でパン/ジンの素晴らしいSPを見て、パートナー入れ替え成功したのね〜と単純に考えていたんですが、4月頃にはユー選手がウィルソンの前で涙をこぼすほど選手の意向を無視した決定だったようで。ウィルソンが「とにかくベストを尽くそう」と慰めたエピソードと、何をどう考えて新しいペアに振り付けをしたか、という部分を特に面白く聞きました。
皐月さん いつも翻訳ありがとうございますm(_ _)m
ウィルソンさんは、ハビエル選手とは 本当に相性が良いようですね。振り付け以外にも、なんとなく2人とも陽気でひょうきんなところも似ているのでしょうか(^^;
ファイナルが近づき 日本人選手の動向がニュースに取り上げられていますが、個人的には ハビエル選手が「今年はファイナルで優勝したい」と語っていたので 実はかなり注目しています。
何と言っても世界王者ですし…今季とてもハイレベルで安定した演技を見せているので、羽生選手や宇野選手・それにパトリック選手と どんな熱い戦いを見せてくれるのか楽しみです♪
また、補足を書いて下さった FSFさんと ペアの件にも触れて下さった goldenbowさんもありがとうございます!
中国選手は あまりプライベートな取材やインタビューが表に出てくることがないので、選手の考えや性格なども なんとなくベールに包まれている印象なのですが…でも やっぱりなんとなく無理やり組換えっぽいな〜と想像していたのが当たってしまっていて、選手が気の毒になってしまいました。
結果的には組み替えても 両ペアともファイナルに出られたわけだし、得点的には成功したと言えるのかもしれませんが…。
でも これから少しずつ信頼関係を築いていってくれると良いなと思います。
GPF始まる前にこちらのぞいてみたら訳を始め
すばらしいリレーの対話。なんだかTV解説以上の奥の秘伝。
振付事情あまり知らない私ですらD・ウィルソンは記憶。
オリンピックがらみでセットで出てくる、隣国とのご縁も。
思わず振付師ランキングが頭に浮かぶがやはりワールド、
そしてオリンピック優勝者のプロとなると近年ダントツ?
羽生選手はこのままあの2人でいく気がする。
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