小塚崇彦　四大陸選手権2009　フリー演技　(解説：カナダ英語)

S:スコット・ラッセル（実況）、T：トレイシー・ウィルソン（解説）、K:カート・ブラウニング（解説）

[ 場内アナウンス ]

S: 19歳のタカ・コヅカを表す言葉はひとつ。”smooth”〔滑らかな、快い〕です！

T: 彼の今シーズンはスケートアメリカでの勝利に始まり、グランプリファイナルでは２位でした。
もうずっとクワドに取り組んでいますが、いまだ試合では降りていません。
父親のツグヒコは、男子シングルの元選手で、1968年のオリンピックにも出場した人ですが、彼は４回転を飛ぶよう常にタカヒコを励ましてきました。
とても良い3A-3Tのコンビネーションでしたね。

K: あの素晴らしい膝のバネを生かし、3フリップからぐんぐんスピードに乗っていきます。
タカ、僕らは親しみをこめて彼をそう呼ぶんだけども、彼は「フィギュアスケート」の持つ優美さ、美しさというものを存分に魅せてくれる選手の一人です。
苦もなくエッジを乗り換えながら氷の上を横切ってゆきます。何も考えたりせず、トランジションに苦心することもなく、ただブレードの力を上手く使いながら…。本当に質が高いんです。

T: カート、私たちはジェフ・バトルが長年試合にクワドを入れようと挑み続け、そしてついに諦め今自分に出来る最善を尽くした結果、ついに成功し世界王者となったのを見てきましたよね。
思うんだけど、タカについても同じ事が言えないかしら？彼にはどうしても4回転が必要なのかしら。

K: 思うに、タカはまだ本当には光り輝いていないんだ。彼が集団から抜け出して世界のトップ3に入るとしたら、観客との間にある壁を取り払い、ジェフのような深い感動を与える表現が出来るようになるか、さもなければクワド。そのどちらかが必要になってくるだろうね。

S: 2006年の世界ジュニア王者です。そしてワシントン・エヴァレットでのスケートアメリカで、彼が輝きの片鱗を見せた勝利を我々も目撃しました。

K: ジャンプには国ごとに特色があって面白いよね。日本のスケーターの場合、男女とも膝を深くかがめて空中に飛び出していくんだ。
プログラム終盤に来て3Aだよ!!この段階で飛ぶ勇気がすごい。2フットだったけど…果敢に挑戦してきました。
そして締めくくりの3Lz。プログラムの後半、２分を過ぎて飛ぶジャンプにはすべて10％のボーナス点が与えられますが、 彼はまさに終盤に組み入れてきました。

K: 本当は皆そうするべきなんだよね。

［演技後］

S: 19歳。世界へ切り込む道のりはまだまだ始まったばかり、日本の小塚崇彦です！
タカはコーチの佐藤信夫と結果を待ちます。

T: 今、そして来年、台乗りを果たすためにはクワド1本あるいは２本どうしても要るだろうというのがタカのお父さんの考えです。今のは回転不足のように見えますね。

K: お父さんは技術的にもう一皮剥ける必要を感じているんだ。美しいスケーティングの持ち主ではあるんだけど… 今のは3A-3Tです。
これは二本目の3Aかな、認定されるだけ高さが足りているかどうか…うわ、厳しいね。フリーレッグのトウピックを氷に突き立ててなんとか姿勢を保たせているけど、これは転倒を免れることが出来るとはいえ点数的にはあんまり良くない。
ですから、どこまで認定され、どこからは認められなかったのか。興味があるところです。

S:アメリカのエヴァン・ライザチェックが現在リードしています。小塚の得点はフリーが145.15、転倒分が引かれ、合計で221.16…ライザチェックには及ばず、しかしカナダのボーン・チッパーを上回り2位に入りました。

T: 2本目の3Aはやはりダウングレードされましたね。