新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、『コロナ禍の今』について語った羽生結弦のインタビュー動画です。映像は日テレNEWSのYoutube公式チャンネルで配信されたものです。
*取材は2020年8月12日に行われました
0:00 感染拡大が続く今について
羽生:不思議だなって思っています。自分の中で。
なんかこれから、世の中が変わっていくのかなぁ?とか、
でもその変わり方が、どういう風に変わるのかなとか。
0:24 羽生選手が感染拡大を実感したのは今年韓国で行われた四大陸選手権(2020年2月4-9日)
羽生:体温計って(会場に)入ったりとか、
みんなマスクしていなきゃいけなかったりとか、
0:49 試合直前までマスク着用は初めてのこと
羽生:かなり重々しい空気もありましたし、
これは本当に大変なことなんだなっていうのを、
ずっと感じながら試合をやっていたので。
1:06 今年の世界選手権は中止。シーズンは突然終わってしまった。
羽生:世界選手権がなくなった時は、
あのう勿論なんだろう、モチベーションの喪失感みたいなものはありましたし、
逆にホットしたという気持ちもすごくありましたし、
試合に出るのも怖かったんですよね。あの時は。
1:38 現在、感染対策に取り組む日々
羽生:出来る限りのところではマスクをして、
出来る限りのところは消毒してみて・・・
1:50 感染対策は練習中も
羽生:なにするにしても「あ、これ大丈夫かな?」とか「あれ大丈夫かな?」
ということを常に脳裏にチラついているというか、
練習にしっかり集中できないというのはありますね。
2:05 スケート靴はウイルスが多い床との接触が多いため、練習の時は靴の手入れが必要
羽生:スケート入る時、エッジケースを外して
あの、おでこに付けるじゃないですか。
ああいうのも、結局もう床にすごい触れちゃってるので、
すごい気を付けたりとかもしなきゃなとか思ったりとか。
この状況では怖いなと思っています。
2:32 例年6月に決まる新シーズンの出場試合も正式発表はなく、不透明な状況
羽生:まあ、本当に始まるのかな始まらないのかなって気持ちも、まぁなくはないですし
2:49 夏のアイスショーも中止、練習時間も削られる中、羽生選手が動いていたこと
羽生:勉強してました。ひたすら(笑)
3:02 早稲田大学の通信課程で人間情報科学を選考し、スケートと両立。卒業論文を書いていた
羽生:フィギュアスケートにおいて、モーションキャプチャー技術というのはどれだけ使えるのかというのと
あとどういう風な展望があるのかっていうのをまとめた論文です。基本的に
3:28 羽生選手の卒業論文
羽生:練習する時間が少なくなってしまったからこそ、勉強にすごい集中できてて
自分の論文が完成させられたことが、一番動いたことかなと思います。
4:22 卒業論文は7月末に書き終え、現在スケート練習に集中 世界初4回転アクセルに取り組む
羽生:自分が一番、なんだろ。
今スケートをやっていて、大事にしなければいけないのは、
アクセルだと思っていますし、
ある意味この時間は原点に返って、
なんか今まで自分が多くの先生に習ってきたことを考え直しながら、
練習できる時間にはなってきているかなと思っています。
5:04 感染拡大が続く現状について
羽生:医療の最前線で本当にウイルスと戦っている方々って
すごく大変だなってことは常日頃感じていて、
雇用主の方々、本当に生きるためにどうしたらいいかって思いながら
でも雇っている方々をなんとか養わなければいけないってことがあったり、
本当に苦しい世の中だと思うんですよね。
5:39 この状況で自分にできることというのは?
羽生:パンデミック、また第2波という状況と闘わなきゃいけないのは
多分僕たち一般人が一番闘わなきゃいけないと思うんですよ。
ウイルスをまずは、あの自分に感染させない。
でそこから、また広げないといすることこそが、一番の、皆さんへの応援じゃないかな
感染拡大に繋がるような行動をしないとい選択をしているだけで、
僕たちは、その回復した未来に向かって動けているんだなっていう風に思っているので
6:25 再び人々の前でスケートのできる未来へ
羽生:早くみなさんの前で思い切って、
本当に少しの不安もなく、少しの心配もなく、
自由に演技して、自由に声を出して、
自由に笑える、自由に泣ける、
そんな日が来ることを願っています
日本スケート連盟が発表した羽生選手のコメント全文はこちら(*PDFファイル)
“羽生結弦 卒論終え コロナ禍の現在地 (2020/8/25)” への22件のコメント
この放送の後に羽生選手の今シーズンGPシリーズの欠場が発表されたわけですが、GPFが12月の北京ではしょうがないですね。このインタビューにもあるとおり、今年の四大陸選手権に出場して新型コロナウィルスの不気味さを誰よりも速く肌で感じていたのも貴重な経験でした。以前から羽生選手の新型コロナウイルスに対するリスクの高さを心配していたので、おそらくは家族や関係者と十分に話し合ったことによって得られたこの結論に一安心です。
この負の面を、卒論の完成に向けてプラスにできたのも素晴らしいですね。実は入学から7年?経ってしまって、中々卒業できないのでこのまま退学もあり得ると心配していましたので、このステイホームをプラスに活用し卒論も提出できたのは良かったです。
ただ、モーションキャプチャー技術なら指導教官側から新しい技術提案もあっても良かったと思います。しかし、この状況で未経験の技術導入はうまく動かないときに誰からもサポートが受けられないので卒論としてはこうなったのも理解できます。
ちなみに関連技術で重要そうなのは、Real time body tracking で、こんな製品もあるようです。
deepmotion.com/3d-body-tracking
最近出た話では Google AI Blog の記事、
ai.googleblog.com/2020/08/on-device-real-time-body-pose-tracking.html
などが羽生選手の今後につながるかもしれませんね。
マーカーなしでそのままの演技動画を使ってリアルタイムに動きを解析できるこの技術はフィギュアスケートにとって意外と重要そうです。フィギュアスケートは審判の目より動画を重視する傾向にあるので、回転不足判定等に今後他のスポーツに先んじて取り込むことになるかもしれません。
ともかく、卒論を切っ掛けに取り込んだこれらの技術とコロナウイルス下の状況を活用して、4A の実現を当面の目標に次に進んで行かれる事を願っています。
私は基本的に、苦手なスケーターっていない。
全員応援というわけでもない。
羽生選手以外のスケーターは、安心して観ていられる。
テレビ観戦ならニワカ評論家に変身し、食事とともに楽しむことができる。
一方、羽生選手はそういう訳にはいかない。
どうしてこんなに魅力的なのか。
それは、容姿端麗で秀でた聴覚の主役感溢れる人間性豊かなスケーターがこだわり抜いたマニアックな構成を綺麗で正確な技術を用いてエレメンツを美しく装飾し音楽と一体化し、時に歌い時に役者となり獲物を狙う肉食獣のように勝利を希求し結果を出し続けてきたから。
幸い多くの尊敬できる素晴らしいライバルにも恵まれてます。
競技って1人では成立しませんからね。
そんなスケート漬け人生を走り続けた彼も、新型コロナ下の新しい日常で今まで着手できなかったことや新たな責任、自分のスケートを見つめなおす貴重な時間を過ごしていたようです。
インタビューは、いつもの様に彼の飾らない率直な思いが彼自身の言葉で語られています。そして刻々と変化する社会情勢と自身の展望を踏まえ、第一人者ならではの示唆に富むものとなっています。
新型コロナの影響下、自ら敷いた行動規範、医療従事者への深い労い、一番大切にしたいアクセルと先生方への原点回帰。重要な点はこの辺りでしょうか。
公言どおり、公式戦で4Aに挑戦するのであれば、多分1回だけ。
彼が最終到達点と定めた場所は、いったい何処なのか。
それは知る由もないけれど、たとえ新型コロナがなくとも大阪NHK杯はあまりにも方角が悪いと思ったし、現役を続けていれば出ると発言した北京五輪は、東京次第では予断を許さない。
そんな混沌とした時代の中、持ち前の探究心で前人未到の4A実現に向け、不純物を浄化しつつ集中を高めていく羽生選手。
もうまるで出家する弟を見送る姉の気分(妄想激しい)。
ずいぶん遠くまで来たな、という感慨と明るい未来の到来を予感し、謹んで大願成就の祈りを捧げます。
天才の最終型には、相応しい舞台があって然るべきだと考えますが、それもこれも決めるのは氷の神様の領域かも知れません。
案外、無観客国内試合でサクッと決めたりして。
とにかく、新型コロナの目処が立ったら、ジスランに会いたいところですね。
私は、大技を披露する事なく競技生活を終わったとしても、勇気ある選択だと考えます。絶対身体の方が大事ですから。
以上インタビューで瞬時に想起した、「本人が4Aを実行する」ならばの想像力豊かなお話ということで。
やっと卒業のめどが立ってきたようで安心しました。まさか退学・・でなく今後競技を離れた人生に少なからず影響するでしょう。
4CC、本当にあぶなかったですね。大会すらあれを境に多くが中止になりました。
羽生選手の人生はご本人が決めることです。BUT平昌優勝できっぱり引退→卒論完成、卒業→休養→→次の人生へはばたくイメージでした。
フィギュア応援者としては北京冬季は無事開催されるのかこのあたりも心配です。
羽生くん、コロナ自粛の期間は、卒論を完成させていたのですね。
それも非常にクオリティーの高いもので。
通常ならシーズン真っ只中で、完成させるのは大変困難だったと思われます。
卒論完成おめでとうございます。
天は二物を与えずといいますが、三物も四物も羽生くんに与えているようです。
まぁ羽生くんは天からの授かりものですからね。
羽生くんの目標は北京ではないと思われます。
今後は夢の実現に向けて怪我なく頑張ってください。
羽生君ならではの卒論ですね!
羽生君のきれいなジャンプが分析されているなんて、とても貴重ですよ。
多くのスケーターや指導者が興味を持つのではないかな。
スケートと関係のない私でも読んでみたいと思います。
社会全体での感染症のコントロールは難しいですね。羽生君がグランプリシリーズを欠場するのは妥当な判断と思います。(他の出場する選手を否定するものではありません。それぞれ事情が違いますから。)
自分が感染しない、拡げないことが一番の応援という言葉に同感です。
私も今は健康でいるだけでも一つの社会貢献になっているんだと思ってます。
白シャツが新鮮でしたね。思い返してみると私が見る羽生君は衣装か黒い練習着かスーツを着ていることがほとんどで、私服はめずらしいのかな。
猛暑を和らげてくれるような涼やかな姿でした。
彼は既に多くの事を成し遂げてきた。
演者としてアスリートとして一人の人間として
聡明で魅力的なスケーターだ。
カナダのチームで学んだ事や試合で経験した事を生かして
今後は未来の子供たちの育成に尽力してくれると嬉しいなと思う。
スケートは技術だけじゃない。心も大事。
スポーツはAIでは測定しきれない
素晴らしい感動をもたらしてくれるもの。
だが、戦争が起きたり、疫病がはやったり、自然環境が破壊されたりしたら、、、
結局、スポーツや芸術を楽しむ事はできなくなる。
この猛暑も自然災害も起きるべくして起きた事。
自然からの警告。
アスリートもそうでない人達も体が資本。豊かな自然あってこそ丈夫な心と体を養う事ができる。
他の競技なら40過ぎても現役を続行する選手もいるがケガとの闘いだ。
今までスケート漬けの毎日だったでしょうから
この機会にスケート以外の世界にふれるのもいい経験になると思う。
芸術性やプロの魅せる技を学ぶもよし。
そうすればまた新しい「羽生結弦」を見られるのではないかと
期待しています。
平和な未来へ願いを込めて。
2014年からずっと連続して24時間TVに出演されていますが、その翌週のエブリィが楽しみなんです。本編を補完する機能がありますが、むしろ、こちらが本編かもしれません。
今回は、明らかに本編でしたね。羽生選手の想いが、より強く伝わってきました。(24時間で、重要な発言をカットされたのは残念でした)
4大陸以降の心の内を率直に語ってくれましたね。
今思えば、この収録時点で、GPS欠場を決めていたような気がします。
回復した未来に向けて、私たち一般人が、感染拡大防止のために一番闘わないといけないんですよね。
羽生選手が氷上に姿を現わす日を楽しみに待っています。どうぞ、お身体ご自愛ください。
羽生選手のファンで卒業を不安視している人はほとんどいませんでしたよ
「単位ならいつでも取れるけど、在学しているメリットを享受したい」というような発言をされていましたので
探究研究好きな羽生選手のこと、随一を誇る早稲田の知のインフラを時間の許す限り堪能したかったのでしょう
立派な卒論を完成されてこの9月には卒業式でしょうか
おめでとうございます
(^o^)
羽生選手の卒論に関して女性自身の記事がでました。
表題は週刊誌らしい盛り方なのでおいておいて、恐らく指導教官の推薦で早稲田大学の「人間科学研究」誌
https://www.waseda.jp/fhum/archs/publications/
の2021年1月号に掲載されたのでその内容の一部が分かりました。指導教官の西村氏が「曖昧な部分もあるフィギュアの採点をAIを使ってクリアにする。この研究を続けていけば大がかりな装置も必要なく、普通のテレビカメラでもなんとかなるという可能性を示してくれました。」と語っているように、フィギュアスケート現役選手の世界的第一人者が自ら「普通のビデオカメラ」の映像(要するに現在の判定システムで審判が見ている動画)だけを使った自動判定実現の可能性を示した点が、画期的ですね。
この論文は、ISUがフィギュアスケートにおいて、エレメントの種類、ジャンプの回転不足等のAIを使った自動判定へと大きく進める切っ掛けになると思います。実現すれば羽生選手が後の世代に残す重要な遺産の一つとなりますね。
論文の中に現在の採点の現状分析もあり、その中で、「審判員の死角になるようにフリップジャンプ、ルッツジャンプを配置している」と過去に多くのファンが感じていた点まで指摘してしているので、分析は多方面にわたっていることがうかがえます。
羽生選手が述べているように、実際に実現するには AI の技術が必要になるわけですが、この論文が広まることによって Google あたりから声がかかるかも知れませんね。もし来季から Google がスポンサーになったとしたらそれが始まりかもしれません。
その後、人間科学研究誌がインターネットに公開されたので、特別寄稿の具体的内容が分かりました。
雑誌は「人間科学研究 補遺号 2021年」でした。
週刊誌の写真から1月号と誤認しました。お詫びして訂正します。
羽生選手の特別寄稿がインターネットで公開できたのは、国立情報学研究所 NII の学術機関リポジトリ構築連携支援事業のおかげです。当然国費が投入されていますが、こうして羽生選手の論文が直ぐに閲覧可能になったので、この効果の高さに納得です。この事業の経緯をまとめた論文があるのでご紹介しておきます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcul/109/0/109_2013/_pdf
大学図書館研究 109号 (2018.8)2013-1 DOI: 10.20722/jcul.2013 オープンアクセスリポジトリの発展にむけて―JPCOARの国際連携活動を中心に―
これからフィギュアスケート関連では、織田さんの修士論文は間に合わず、町田さんの博士論文はこちらから参照できるのが分かります。
ここでアクセス数が特異的兆候を示すと、AI関係者の目にとまる可能性が高まるので良いことです。表題が卒論の「活用と将来展望」から「利活用に関するフィージビリティースタディー A Feasibility Study on Utilization」に変更したのはそんな狙いがあるのかもしれませんね。
早速、公開された論文を見てみました。
論文にはモーションキャプチャのための機器が具体的に示されているので、いったいどんな格好で実験を行ったのかが分かりました。論文の図1は少々分かりにくいので、別資料の装着モデルはこれです。
https://www.aiuto-jp.co.jp/upload/images/NOITOM/PERCEPTION%20NEURON%202.0/zukai_001.PNG
この図から分かるように、メーカーとしては通常のモーションキャプチャでは手指の動きに集中することが多いため UPPER BODY の25センサーに下半身の6センサー(一番右下の図)、最大合計31センサーを想定しているようです。
羽生選手はこれらのセンサーを付けてリンク上で実験したようです。測定時の不安定要素をまとめていますが、これから今までフィギュアスケートにおいてこれを使った事例の資料が無いことが分かります。論文には書いてありませんが、販売代理店の技術者が参加した可能性があります。何しろ世界的第一人者が自ら実験するので、測定の評価の信頼性が高く、そこから得られる技術情報は非常に貴重なものになると予想されるからです。影響力が高すぎるのでこのあたりの事情は伏せるのが公平です。当然得られた情報はメーカーに送られ、あらためて世界中の販売代理店へ公開されるかもしれませんね。ともかく、技術者が参加してくれれば測定効率が上がり、カスタマイズも容易になるので、フィギュアスケートではあまり重視されない手指のセンサーを足に移動し、これが後々ジャンプの測定へとつながったかもしれません。
Wi-Fi通信用機器にセンサー情報を集めるしくみのようでバッテリーが必要です。破損や怪我を心配するのは堅い物がフィギュアスケートになじまないことを知っているからですね。しかもバッテリー破損は発火の危険性があるので、追試を行おうとする人に向けてこの実験の準備に時間を掛ける必要があることが記述されています。
センサー装着後必須の実験のための試行もさらっと書いてありますが、フィギュアスケートを知っている人ならとんでもないことが分かります。
まず、Wi-Fi 性能と測定精度の確認行うために2020年の世界選手権で行う予定だったと思われるステップシークエンスを自ら実施しています。さらに今回の実験で筆者が特に注目しているジャンプの測定では、1Lo、1F、1A、は常識の範囲ですが、3Lo、3F どころか 3A まで試しています。世界的にほぼ行われていない実験でいきなり 3A とは、その難しさを考えると筆者でなければまず思いつかない発想ですね。なにしろ測定では失敗のないジャンプが必要ですから。
長くなったので、この論文で最も注目すべき実験結果等の話は後でコメントします。
続きです。今回は論文の「実験結果」の記述を見てみます。
不安定要素が問題ないことが確認され、この装置でのモーションキャプチャの精度をチェックしています。
実際の演技の再現性が高いのを確認して、さらにこの装置では水平方向の滑りの動作が捉えられないことを指摘しています。これは非常に興味深い発見で今後の課題ですね。もし技術者がいたとすれば直ぐに原因を解説してくれるので、このあたりの現場での盛り上がりがうかがえます。
さらっと書いてありますが、普通の人ならデータを取ることが極めて難しい3Aの高速回転に耐えて、筆者が満足するデータが得らることを明らかにしたのは重要です。
モーションキャプチャデータの分析には付属のソフトによって人形の様なモデルが使えるわけですが、このモデルの視点を自由に変えられる機能を見て、ここで筆者はとんでもない部分に目を付けました。それが図2の足の裏から見た図です。詳しく書いてありませんが、各点はセンサーを表しているとすればこの部分を図1の標準的装着からカスタマイズしていると思われる部分です。
この下から見ることができるという機能のおかげで、ジャンプの踏み切り時の足の挙動を再現できることが分かったのでジャッジの話へと進むのは当然で、ルールに合致する正しいジャンプを追い求めてきた第一人者らしい考察が続きます。週刊誌の内容とは真逆の極めて真摯なデータ分析は読み応えがあります。
今まで非常に難しかった踏みきり時の判定が正確にできることが分かったので、「これは今のフィギュアスケート界において,非常に大きな発見であると考える。」と結論付けたのですね。
その一方、モーションキャプチャと聞いて普通に考えられる予想に反して、「着地時のデータについては疑問が残るものも多い。」と述べていいるのも、今後の課題提起としてセンサーの水平方向への慣性運動の関知やいくつかの改良の必要性を示しています。
「考察・まとめ」を見ると、参考論文の「コンピュータビジョンの最新論文調査 2D Human Pose Estimation 編」の中で「Pose Tracking」や「3D Pose Estimation」 が取り上げられているので、今回筆者はこの技術の可能性を認め、機械学習により自動判定を行うにあたり必要となるデータ収集を想定(おそらく教師あり学習用)したまとめを行っています。
そうした自動判定の精度を高めるためには、今回の筆者の研究のような実際の演技のモーションキャプチャとの比較が必要ですので、自動判定への大きな一歩を示したわけです。そしてその最終形が「今回の実験で使用したセンサー等特別な機器を使用することなく,TV中継などで撮影される画像によりモーションキャプチャー・データが取得可能となる。」であると結論付けているわけです。週刊誌にあった指導教官の感想も納得ですね。
今回のパンデミックで得られた時間を非常に有効に使って実験を行い卒論が完成できたことがあらためてわかりました。卒業までに時間がかかった事が逆に幸いしたわけです。この時間がなければここまでつっこんだ実験をすることは出来なかったので、羽生選手の強運をあらためて感じます。
別のところでコメントしましたが、現在自動翻訳技術が向上したため、今回の論文がインターネットに公開されてすぐに関係者が読めるようになったので、ISUへも伝わっていると思います。
こういった実験結果の正確性を担保する条件として、どの実験要素においても高い技術力を持ち、バラつきのない能力で遂行できる被験者でなくてはならないことが挙げられる。一人でこれをやれると思うことがまず、凄いことなんですね。
この論文はこの大前提がなければ崩れてしまい、その点で ISU には十分な興味を持って、かつ慎重に扱ってほしいと切に願います。
小高さんのツイで、この論文に対し手厳しい感想とご自身が書いたのを見ましたが、これは終着ではなく始まり。教養と知見のバランスが取れ、物理も理解すると思われる方なので、採点の不明瞭をどこをどのくらい改善したいかどうか知りたい、と個人的には思う人です。改善したい部分があるなら、そこだけでも一緒に考えさせてもらうことができますからね。
その点で、私は今のままでいい、という人とこの件で話さないスタンスを終始とっています。平行線は井戸端、私が求めるのは思想じゃなく行動なのです。
選手にとって、何をどう判断されているか判然としないのは不利益と私は考えます。そのため、できる限り明確化できるものから改善していきたい考えをずっと持っています。
蓄積した採点データからは、採点経験が多く集まれば、マクロ・ミクロ双方の視点から分析していくことで一定の傾向が見えますから、組織にわかりやすく採点データをあげるということも必要になります。私は採点傾向には好み(偏向含む)があるとみているのでジャッジの発信情報も調べ、それとあわせてみます。
全米のとあるジャッジの奥方は、非常にバランスが取れたジャッジだということなどもわかるのですよ。ただ、技術的な分析は私の範疇ではないので理解が難しい。そこに斬り込んでくれるのは、有難いのです。現役でよくぞそこまで、熱意を感じますよ。
この論文を昇華させるにあたっては、多数の協力が必要となることは彼も百も承知でしょうから、これがすべてのとっかかりになることを願っています。
日本発ソフトに必要なものを探る記事に次のような記述がありました。
https://japan.zdnet.com/article/35170383/
『「メインフレームユーザーの認めるクオリティーを出せない」と無視していたら、相手は徐々に改良してユーザーの求めるものになっていく。「バージョン1で完成ではない。どんなものにするのかといった夢を売り、それを実現する」(Miner氏)。将来に対するコミットメント、つまり売った夢を形にすること。』
羽生選手のフィージビリティースタディーが自動判定実現に向かう第一歩であり、その道筋が示せたのがたとえバージョン 0.01 であっても重要であることを説明する記述だと思います。
このために必要な技術革新は自動判定だけのものではありません。例えば、今後の課題となった水平方向への滑りを再現できれば、フィギュアスケートのステップシークエンスのモーションキャプチャデータ収集は 3D モデルのステップシークエンスにつながります。これによって、映画製作と同じようなことが可能になります。視点の設定は自由なので、視点を目の幅にずらして立体映像を作ると、
あなたが仮想現実用ヘッドマウントディスプレイを装着すると、リンクの向こう側にいる羽生選手があなたに向かって真っ直ぐステップシークエンスをしながらせまってくる。
ということも出来そうです。
技術的課題をクリアして、将来 Swiss Timing 社クラスのところに届くといいですね。
https://www.swisstiming.com/sports/figure-skating/
読みたかった羽生君の卒論を読むことができました!!
えるさんが9で紹介してくださったアドレスからたどり着けました。ありがとうございます。
テーマは私には馴染みのないものですが、
具体的な説明があるので分かりやすく、羽生君の考えも交えて書いているので、
テンポよく読み進められました。
最初の方でジャッジがいかに大変なものであるかを説明してくれていて、
私はルールや採点にあまり詳しくないので勉強になりました。
実験のデータで圧力が高まった箇所が赤く見えるのはおもしろいですね。
いろんな動きをしてみたくなくなりそうです。こんな所が!という発見がありそう^^
今回の実験で使われた装置は、ジャンプの離氷時を評価するのには有用だけど
着氷時を評価するには課題があるとのこと。
将来的には高性能カメラや解析のソフトウェアも合わせて、
現在の採点でのあいまいな部分が解消される日が来るのか!?
そこに向けての第一歩となる論文なのではと思いました。
このように私のような部外者も読むことができるなんて、うれしいですね。
時間が経ちましたが横浜のSOIを見に行きましたので、その感想を少しだけ・・・
羽生君を生で見るのは初めてだったんです。
スタイルがいいのは分かっていましたけど、テレビで見るよりほっそりしていて、
以前、衣装展で見たお衣装がとても細かったことを思い出しました。
国別の直後だったので体調とか大丈夫かな~とちょっと心配していたのですが、
ちゃんとショーをこなしていて、もうプロスケーターねと思いましたよ。
ごめんなさい。
上のコメント内で変な文章になっている箇所があるので訂正させて下さい。
4段落目で「いろんな動きをしてみたくなりそうです。」と書いたつもりでしたが、
>いろんな動きをしてみたくなくなりそうです。
と書いてしまってます。
投稿前に確認したのですが、後になって気づくんですね>_<
失礼しました。
卒論紹介関連、こちらを除いてほっとしました。
切り取り的にアップされた内容では羽生選手が自分にとって
不利なジャッジの視点的な内容でトップに行けないんだみたいな。
それにしても卒論が外部で話題になるのは羽生選手ならではですね。なにか大きな採点技術革新のきっかけになる可能性も秘めてます。
16番、まぁ!わたしとしたことが。
「こちらを除いて‥」は別の意味にもなりかねません。
こちらをのぞいてみてほっとしましたーです。
羽生選手の特別寄稿は卒論を再編したもので、実際の卒論は相当長いようで、各ジャンプに対して計測結果とその考察を行っていたと思われます。今回の論文の目的が自動判定の可能性とその形を予想するものなので個々の測定結果を長々と記述する必要は無いわけです。
ところで、実際に機器を試用した記録をまとめたものがあります。
www.next-system.com/blog/2018/10/18/post-2136/
これを見ますと、装着しているバンドのずれはまずいことが分かります。羽生選手がジャンプの回転時心配していたものですね。「時間が経つとどんどんズレていってしまう」欠点もあるようで、「めちゃくちゃ高度な技術で動いているというわけではない」との評価です。まとめの後半にAIによるモーションキャプチャに言及しているのも羽生選手の論文の考察と一緒の流れですね。
つまり、この装置の想定用途範囲から外れているので、そのままフィギュアスケートの動きを得ることができるように完成されたものではないようです。
ここで、計測は1秒に何回行えるかを見てみましょう。
最大出力レートが1秒間に60回計測できるということは、0.017秒に1回です。
羽生選手は70cmの高さのジャンプを跳ぶとすると、滞空時間は 0.756秒です。
3回転ジャンプでは1回転にかかる時間が、0.25秒、
4回転ジャンプでは1回転にかかる時間が、0.19秒なので、
4回転ジャンプでも1回転の間に約10回測定できるので、一応回転不足等の判定には使えそうです。
しかし、回転状態を見るには両肩と腰の左右に4つのセンサーを付ける必要がありそうなので、センサー数からいってこの計測には至っていないように思われます。
羽生選手の報告から、ジャンプも跳んでいる間は水平方向へ慣性運動するので計測できず、水平移動がつかめないため着地の動作のデータが実際と少し異なるように見えたので、回転不足の判定に使えるとまでは言及できなかったのかもしれませんね。
実験においては不十分な能力の装置をうまく使って結果をだすことがよくあるので、今回の羽生選手の実験もこの装置をうまく使って現状の機能でもフィギュアスケートのジャンプを跳ぶ瞬間の判定が可能であることを示したと思われます。
このように装置の性能がおおよそ分かってくると、この装置でフィギュアスケートの判定の一部に使えることを示した羽生選手の実験の意義が良くわかりますね。
私が読んだものは卒論をコンパクトにしたものなんですね。
実験をされているので、実際は測定された数値とか
表やグラフなども入っているのかな。
今回の特別寄稿版、私は十分楽しめました。
特に羽生君がジャンプの跳び方の説明をしている部分はワクワクしました^^
いつか論文でなくても、他のジャンプやスピンのことも書いてくれないかなぁ、、、
読んでみたいです。
羽生選手の論文で参考文献としてあげている、 Human3.6M というデータセットについてそれを実際に利用している次のような論文を見つけました。
「3次元ベクトル場を導入したCNNによる人体の3次元姿勢推定」
http://mprg.jp/data/MPRG/F_group/F20200612_komatsu.pdf
「3次元データセットはHuman3.6Mデータセット[14]を使用する.」とあって、実際に3次元姿勢推定の方法を提案し、その結果と Human3.6Mデータセットを比較して MPJPE という値を求め、その値を従来手法と比較して評価しています。
これから分かるように、フィギュアスケートの自動判定の前段で必要となる「ビデオ画像からの3次元骨格推定」(特別寄稿より)のために、フィギュアスケートの Human3.6M 相当のデータ収集が当面の重要課題です。そのためにはフィギュアスケート用のセンサー開発が必要です。
なんとかセンサーを開発して、来年の春以降のシーズンオフにデータ収集となると良いですね。なにしろ自分で提案したので、センサーを開発したところが頼めば、世界的第一人者がデータ収集に積極的に応じてくれる千載一遇のチャンスです。羽生選手が使っていたセンサーを完全に作り直す必要はなく、機能追加と改良でいけそうなのでこれが実現する可能性は小さくはないわけで、ファンとしてはこのようになる事をお祈りしております。
前にも言及しましたが、Human3.6M用のデータができれば、CGで羽生選手の演技を再現することが可能になりそうです。今までの試合の映像とは全く異なる映像を作り出すことができるので、従来の写真集では得ることができないCG映像集もでるかもしれませんね。
今年の6月にタイで行われるISU評議会で、フィギュアスケートのAIによる採点が話し合われるようです。羽生選手のこの論文が切っ掛けでしょう。
この論文を英訳した人が、論文がでた直後に関連動画も公開しています。
https://youtu.be/3c2dDaIaifw
この動画に今まで500以上のコメントが寄せられており、その多くが英語で世界の関心の高さがあらためて分かります。
採点に関することなので現役である羽生選手がこのシステムの開発に協力しているとすれば、非公開で行われている可能性があり詳細は6月の会議で明らかになるかもしれませんね。
羽生君がアイスジュエルズvol.16に寄稿したものを読みました!
私が読んだ羽生君の卒論も特別寄稿版だったので、寄稿つながりでこちらに少し感想を書かせてもらいますね。
普段、雑誌はあまり買わないのですが、羽生君の卒論の文章が好きだったので、ご本人による4Aの解説を読んでみたくなり購入しました。
やはり人気がすごいみたいで、やっと手に入りました。
4Aの跳び上がりからの写真を1コマずつ、その時に身体がしていることや写真を客観視しての解説にはワクワクします。
こんなものを聞いてよいのだろうかというくらいの、とてもパーソナルな体験をシェアさせてもらっているような感覚になりました。すごいサービスですね。
全日本でのインタビューで話していた「僕だけのジャンプじゃない」という言葉がしっくりきます。
ソチ、平昌を含む五輪についてのインタビューもたっぷりあって、読みごたえのある内容でした。
特に北京五輪期間中の出来事やその時の気持ちを聞けたのはうれしいです。当時、今はどんな心境かと心配していましたからね。
結果は望んだものではなかったかもしれません。でも、メダルや点数とは全く別次元の大切なものを見させてもらったと私は思っています。
私にとって羽生君の北京でのショート、フリーは気軽に見返すことはできないですが、好きな演技です。
羽生君は今月末からアイスショーに出演ですね。足の状態は良くなっているんですね。
最近は他の選手達からも新プロのことなど楽しい話題が聞こえてきます。
皆さんオフシーズンも元気に頑張ってますねぇ。
ドラマチックだった五輪シーズンの次は何が待っているんでしょうか。
さて、コロナによる影響が徐々に少なくなってきて、私の生活にも以前の忙しさが戻ってきたこともあり、
ここからはもう少し距離を取ってフィギュアスケート鑑賞を楽しむことになりそうです。
これを機会に、数年間お世話になったこちらのブログにコメントを書き込ませていただくのも、これで最後にしたいと思います。
でもスケーターの皆さん、膨大な数の動画を紹介してくださっている管理人様、
そしてコメントを書いてくださっている皆さん(いつも皆さんのコメントから元気をいただいております!)、
これからも皆さんのことを応援しておりますよ~^^/
p.s. お声がけいただいていた方へ、、、お返事を書けていないままでごめんなさい>_<
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