ラファエル・アルトゥニアン TSLインタビュー2018 (2018/8/12-英語) コメント(30) 公開日:2018年8月14日 海外の動画 本田真凜やネイサン・チェンを指導しているラファエル・アルトゥニアンコーチのインタビュー動画です。映像は「TheSkatingLesson.com」のYoutube公式チャンネルで公開されたものです。 (本田真凜:18分10秒辺りから) タグ TSL ラファエル・アルトゥニアン 関連記事 ラファエル・アルトゥニアン、浅田真央について語る (2016/4/8-英語) イム・ウンス TSLインタビュー2018 (2018/10/31-英語) TSL ラファエル・アルトゥニアンと対談 (2015/11/16-英語) TSL GPSスケートアメリカのおさらい (2018/10/21-英語) TSL フランス国際のおさらい (2018/11/25-英語) TSL ネーベルホルン杯&JGPチェコスケートのおさらい (2018/10/1-英語) TSL 世界ジュニア選手権2018おさらい (2018/3/14-英語) TSL 世界選手権2018おさらいwithメーガン・デュハメル (2018/3/27-英語) 投稿ナビゲーション TSL The Ice2018&アジア杯&高橋大輔 (2018/8/7-英語)TSL USクラシック&ロンバルディア杯&JGPカナダのおさらい (2018/9/17-英語)
“ラファエル・アルトゥニアン TSLインタビュー2018 (2018/8/12-英語)” への30件のコメント
最初の18分は、アルトゥニアンコーチの経歴について話していますが、そちらは割愛し(ラフ、ごめんw)、さまざまな選手について語っている部分をまとめてみました。長くなるので、現役選手に絞りました。意訳・省略ありです。ご参考までに…。誤訳の訂正、補足など、お気づきの点を指摘してもらえれば、ありがたいです。
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本田真凛
・年齢の問題
優れた音楽性と美しい容姿の持ち主。素晴らしい。真凛は才能はあるが、16歳。17歳以上の五輪チャンピオンは少ない。今は16歳で五輪チャンピオンになる。以前から(シニアの)年齢制限を(18歳に)上げるべきだと言っているが、ISUは通さない。現在10歳の女子は、次の五輪では14歳なので出場できない。その次の五輪では歳を取り過ぎている。狙えるのは世界チャンピオンということになる。4-5年前から言っているが、13-14歳の女子が18歳と競うのはフェアじゃない。体形や作戦が全く異なるからだ。真凛やユンスには「(五輪は)試練だが、策はある。出来る限りのことをする」と話している。
・技術の問題
世界チャンピオンに必要なのは、安定したジャンプ。それが私の考え方。真凛は今、ジャンプに取り組んでいる。最低2年は私のもとに居て欲しい。完璧に安定させるには4年かかる。
・練習嫌いの問題
自分がやっている事に自信が持てないと熱心に練習しないものだ。選手にモチベーションを与えるのも我々コーチの仕事。ミハル・ブジェジナやアダム・リッポンも同じように(練習嫌いだと)言われた。我々は技術だけでなくメンターとして精神面もサポートすべき。
・目標
世選出場は大変だが、目標にしている。多くの技術的問題を解消しなければならない。6年間直らなかったものが2か月では直らない。統計学的に言って、ジャンプ成功率80%だと試合ではうまく跳べない。プレッシャーがかかり緊張するからだ。成功率は最低90%なくてはいけない。
イム・ウンス
とても才能ある選手だが、ミスが多い。FSで失敗した。何もないところで転倒したり、突然パンクしたり。あと2年も鍛えれば良くなるだろう。
ネイサン・チェン
・イェール
ネイサンが他のコーチにつくとは思わない。彼は飛行機で行き来したいと望んでいる。私があちらに飛ぶこともあるだろう。うまく行かなければ、どうするかネイサンが決める。現在、ジャンプは安定しているし、最高のプロも手にした。スカイプや動画を使って指導をしたことはないが、可能だと思う。ネイサンは動画を送って来ることになっているが、必要に応じてスカイプで話そうと思う。ただ、7時から4時までリンクで指導しているので一日中急がしく、時間があまり取れない。ネイサンはとても意識が高い。ミシェル(クワン)のようだ。誰と居ようと、すべき事を分かっている。全く問題ない。
・4Lz
昨季はプロに組み込む4回転の種類をコロコロ変えたため、トラブった。(羽生選手がまだ完全装備していないであろう)4回転ルッツをネイサンが入れるか否かについては…高級レストランでリラックスできるのは、懐が暖かい時。それが私のやり方だ。
・今季の展望
ネイサンの4回転は質が高く、ジャンプも滑りも良い。羽生結弦にも勝てると思う。一番の心配は+5/-5システムになり、得点幅が大きくなったこと。誰にとっても難しくなると思う。私なら+1/-1の採点法にする。良い、普通、悪い、の3段階。この方がクリアだと思うが、ルールを作るのは私ではない。良プロを作り、門下生の指導に最大の努力を払うのみ。完璧な3回転を跳んだ方が高得点になるかもしれないが、ネイサンは4回転を跳ぶだろう。負けず嫌いなアスリートだから。
・(「昨季のネイサンは、試合ごとにプロの内容を変え、五輪のSPまで変えていた。今季は決められたプランを守るだろうか?」との問いに)
ネイサンは経験から学び、賢くなったと思う。目標だった(世界)タイトルも手にした。練習では既に私の言う事をよく聞いている。今後もそうあって欲しい。ネイサンが(イェールに)行く前に話をし、試合ごとにじっくりプロを練り上げて行こうと提案するつもりだ。ロシアで私は独裁的なコーチだったが、渡米後、全く変わった。命令するのではなく、提案する。そして見守る。命令できれば、と思うことも少々あるが、残念ながら不可能だ。だが、例えるなら、交通違反をすると罰せられると分かっているのにルールを守らない場合。そんな時は、命令口調になる。
・平昌五輪
(うまく行かなかった)五輪SPの演技には全くショックを受けなかった。プロを変えたので、ああなると分かっていた。ネイサンには何も言わなかった。彼も分かっていたから。キスクラはショーのようで好きな場所じゃない。できれば出たくない。演技が良かったか悪かったか、我々には分かっている。話すことはあまりない。良ければ良かったと言う。悪い時は何が悪かったか、どこでミスしたか分かっている。プロを変えたからミスが起きたとか、練習がうまく行かなかったなど、全て分かっている。後で話し合う時もある。だが、ネイサンが話したがらなければ私も話さない。お互い、分かっていれば話す必要もない。
ミハイル・コリヤダ
2週間ほどここに来ていた。コリヤダも彼のコーチも好きだ。みんなと一緒に滑ったりジャンプしたり、楽しそうでなかなか愉快なセッションだった。チケットが売れたかも(笑)。(今季、コリヤダの指導をするかと聞かれ)それは無いと思う。ロシアと米国を飛行機で行き来できるほど彼に経済的余裕はないだろう。機会に恵まれた米国とは事情が違うので。だが、夏季トレーニングを見学し、何かアイデアを持ち帰ったのではないだろうか。我々は包み隠さず全てオープンにしているので何も問題はない。得るものが無く、もう来ないと言うかもしれないが。強制はしないし、見学は誰でも歓迎だ。
女子の4回転について
(「ロシアのテストスケートでアレクサンドラ・トゥルソワが4回転を3本、アンナ・シェルバコワが4Lz、アリョーナ・コストルナヤが3Aを跳んだ。これにより女子のジャンプに影響は?真凛やウンスのトレーニングに影響は?」との質問を受け)
メドベデワとザギトワは4回転を跳んでいない。それが問いへの答えだ。私がシニア年齢制限の引き上げを提唱する理由の一つは、子供の体はまだ発育途上だからだ。成長版や間接、骨がまだしっかり形成されていない体で4回転を跳んでいると、ダメージを招く。4回転を跳ぶ度に大きな負荷がかかり、軟骨、骨、関節を傷める。何を犠牲にしているのか知って欲しい。18歳まで健康を維持すれば、6度のジュニアチャンピオンも可能だ。18歳でシニアに上がれば世界チャンピオンも可能だ。だが14歳が4回転を跳んでその時は優勝しても、何が待っているだろう?車椅子に座ることになって欲しくない。ISUは彼女らを守るべき。医者は低年齢で4回転を跳ぶ危険性を提言すべきだ。
グレイシー・ゴールド
R: グレイシーは美人だしジャンプも巧い。その気になれば、強豪選手に返り咲くのも可能だろう。
D: グレイシーから連絡は?
R: 無い。
J: スケーティングから遠のいた時間を埋め合わせるのは、どれほど時間がかかるもの?
R: 立ち止まっている間に他の選手は先に進んでいる。スピードに乗った彼らを初速で追いかけ始めるわけだ。追いつくにはかなり時間がかかる。だから立ち止まってはいけない。魚は泳ぎ、スケーターは滑る。魚を水から出して、明日戻すことは出来ない。
マライア・ベル
アシュリーの足跡を辿っている。初めは大変だったが、2年後、ずっとよくなった。全米ではまだ闘える。世選代表に入るのが目標だ。に入れると思う。まずは国際大会でどこまで行けるか。
エフゲニア・メドベデワ
・(トロントへ)移籍したのは理解できる。元のグループに居ても「コーチは次の五輪に最も出場可能な別の選手を重視する」と感じたのだろう。だからメドベデワは決心したのだと思う。少なくともブライアン(オーサー)はサポートしてくれる。賢明な選択だと思う。メドベデワは、望み通りのコーチを手に入れた。結果がどう出るかは、別の話だが。メドベデワにはサポートや励ましが何より必要だった。ブライアンは適任だ。信じてくれる人がいると何でもできるものだ。年齢的に次回の五輪だけなく、世選さえ難しくなる話は既にした。メドベデワは先の五輪準備で体がもたず、1-2か月の休養を強いられ、新星ザギトワに負ける結果となった。怪我がなければ二人に差は無かっただろう。
・(「メドベデワの才能はキム・ヨナや浅田真央に匹敵するか?」と聞かれ)
指導者次第だと思う。ブライアンのチームは、メドベデワをカロリーナ・コストナーやキム・ヨナのような選手に育て上げるだろう。
ジェイソン・ブラウン
今でも4回転を組み込めると思う。4回転を跳ぶには、適切な情報が必要だ。つまり跳び方。
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以上です。
FSF さま、連日の翻訳ありがとうございます。
しかもわかりやすい日本語にフイギュアにも精通。直でお会いしたらどんな日本語をお話になる方なのか憧れです。
アルトゥニアンコーチの専門家ならではのお話ですね。漠然と思い浮かぶのが(私のなんとなく楽しむレベル)今では男性ではオーサー氏と2トップ。ネイサン君が所属してさらに。
ただ彼も大学生、距離的にもどんな練習環境か北京まで単純ではないと思う。真凛選手も加わりにわかに日本との関連も注目度が上がりました。
ところで羽生選手は4Lz、去年の怪我前はコンボで完成していた情報はどこまで真実だったのか~オーサー氏の談話でなんとなく見たレベルなのでまちがってたらどなたか訂正もお願いします。新ルール下でどう構成して来るか注目です。良いプログラムにも出あいますように。今年の各選手たちの一部お披露目は早くもすごい。
ロシア女子の若い選手達の高難度回転、これは私も他国ごとながら心配です。年齢がオリンピック年に合わなく才能ある選手が姿を消してしまいます。ザギトワ、メド選手も今季は早くも読めない。
皆さんのご意見が出始めたら再訪してみます。
取り急ぎ、以下のように訂正させてください。
本田真凛
ユンス→ウンス
女子の4回転について
「成長版や間接」→「関節」
マライアベル
「に入れると思う。」→削除。
以上です。
FSF さん、いつもいつもお世話になります。
ありがとう。
まりんちゃん、”THE ICE〝でアメリカに練習拠点を移してから短期間でも変化があったと解説者が言ってましたが、私にはわからなかったんです。。ジャンプが相変わらず安定してなくって・・
まだまだ、時間が必要なのかな。
FSFさん、素晴しい訳をありがとうございます。ウンスちゃんのお名前を訂正されていたので、できたらまりんちゃんの「りん」野字も訂正してあげてください。「凛(示)」ではなく「凜(禾)」です。一回の変換で出てこない字なので、これだけの訳を短時間でなされる中毎回お気に留められるのは難しいと思うのですが、前々から少し気になっていたので。
それにしても、ラファの訛りが強いブロークン英語は、海外の掲示板ではネイティブの人でも聞き取るのに少してこずったと話しているのに、要点をきっちりまとめ上げたうえで非常にわかりやすい日本語で訳されるなんて、本当に素晴らしいスキルの持ち主でいらっしゃいますね。毎回感動しております。
>おばんさん
TheIceの解説者が話していた変化は、ジャンプについては「跳び方」のことです。まず、ショーの薄暗い照明の下で跳ぶジャンプが安定しないのは珍しいことではありません。それに、FSFさんの訳にもあるように、ラファは、長年直らなかったものが数か月で直るわけはなく、真凜ちゃんにしろウンスちゃんにしろ、ジャンプの安定には最低1、2年、できれば4年必要だと話しています。特に、跳び方を変える必要がないといわれたウンスちゃんに対して、真凜ちゃんの方は1から全部作り直させられているそうだから大変です(今のコーチが思う正しいジャンプ方法は前のコーチのとはかなり違うようですね)。矯正を始めて数か月ですべて安定させられたら天才どころか宇宙人です。
ジャンプ以外の面(筋力、体幹、スケーティングのスピード、質、ステップの安定感など)では移籍後数か月とは思えないほどの進歩が見られます。また、インタビューでの発言からも、昨季と比べて人間的に大きく成長していることが分かります。真凜ちゃんが変わった変わったといわれるのはそれらの方です。
本人も、ジャンプの矯正が何年もかかり、先が見えない状態に陥るリスクを百も承知の上で毎日コツコツ頑張っているのだから、周りもすぐに結果を求めず、根気よく見守ってあげるべきだと思います。
FSF さま、翻訳ありがとうございます。
感謝
翻訳ありがとうございます!!
思ったのはジャンプの矯正はジュニア時代からやるのが1番なんだなと思いました。
ジャンプの安定に2年またはそれ以上かかることになるとマリンもウンスも安定する頃は18-19歳頃。
18歳以上がオリンピックで金メダル争いをするのが難しいなら、有利と言われてる16歳でジャンプ矯正始めたら1番体の軽く回転不足に悩ませれない頃を矯正に捧げなければいけないのですね。
シニアにあがってからのジャンプを1からやり直すには、体型変化と同時進行でやらなければいけないので、もしかしたらそのままダメになってしまうケースを考えると凄い挑戦だなと思いました。
真央ちゃんは19歳過ぎてからの矯正やってる間に体型変化でジャンプが重くなったなと思いました。20歳手前で矯正始めて成功した人もいるからなんとも一概ではないけど。
FSF様、プロフェッショナルな翻訳、本当にありがとうございます!お陰さまで、この一流中の一流のラファエルコーチの考え方、指導の姿勢を垣間見ることができました!そうか、女子の4回転等、体の負担がかかる技術偏重性をISUは見直して欲しいと、ベテランコーチでさえ考えておられるのですね。
ラファエルコーチって、真央ちゃんの元コーチであり、ワグナーやチェンを全米1位にした筋金入りの卓越者!真凛選手が彼の所に行ってくれて良かった!勿論、急激にすべて完璧になることはないとしても、このような経験豊かなコーチについて、全力を出しきってスケートに向き合う事は、彼女の人生でものすごい重要な進歩になると思う。応援していまーす!
残りの部分をまとめてみました。最初の18分を含むアルトゥニアンコーチ関連の部分は割愛してあります(ラフ、ごめんw)。意訳、省略ありです。ご参考までに…。誤訳の訂正、補足、その他、お気づきの点を指摘してもらえれば助かります。
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ルール改正
ルールをコロコロ変えるのは、やめて欲しい。浅田真央がジュニアチャンピオンだった時、5月にルールが変わり、エッジ判定が厳格化されることになった。ルッツのエッジ矯正にどれほど時間がかかると思う?5月から10月の間に可能だろうか?否だ。ISUは矯正にどれほど時間がかかるか知らないから、こんなルール変更ができるのだ。我々コーチに先に聴いて欲しかった。ルール変更には同意するが、4年必要だと答えただろう。私はコーチだ。どれほど時間が必要か知っている。
後半ジャンプに加点が付くルールが出来た時、私はネイサンに後半、ジャンプ5本を跳ばせていた。最後の4本は28秒で跳ぶ。Lzも入れていた。12歳の時だ。そして、スティーブ(ゴゴレフ?)がここに来た時、この練習をさせていたんだ。それなのに全くルールが変わってしまった。こちらはルールに合わせて準備をするのだから、そんなルールの作り方はやめて欲しい。
+5/-5の新ルールもどうなることやら。2回転ジャンプの加点率は据え置かれ、4回転ジャンプの加点率は変わった(減った)。6.0ポイント制の旧採点法から新採点法になり、ジャンプに点数が付けられるようになったのはなぜか?旧採点法では公平な採点が行なわれず、ジャッジが順位を操作しやすかったからだという。だから客観的かつ明確な採点法が必要だった、と。全て数値化すれば問題ないと言うが、そうだろうか?+5/-5システムで何が変わるだろうか?(「ジャッジは点数操作がもっとしやすくなる」とデイヴが発言)まるでジョークだ。
コーチング
アスリートは敏感だ。我々コーチがちぐはぐな情報を伝えると選手に影響する。そこで、情報が矛盾しないよう整合性を図っている。何か質問があれば答えるので私のところへ来るよう生徒には言ってある。何でも闇雲に信じてはいけない。誰もが味方とは限らないし、情報が正しいとも限らないからだ。長い話はできないので短時間ではあるが、私と話す時間はある。
新しい門下生の指導
真凜やウンスのように新しい生徒からは目を離さない。変な所があれば、助言した上で反応を見る。新しい生徒には全てを教え込む。例えば、リンク内外でのウォーミングアップ法から、SPとFSの間に1日、中休みがある場合の体の休め方など。フィギュアスケートには教える事が多く、技術はほんの一部に過ぎない。今は滑りをよく見て悪いところはすぐに指摘せず「OK」とだけ言う。そうやって観察しつつ、生徒のことを知る。
門下生同士の関係
門下生らは一丸となっている。ネイサンはミハルを助け、アダムはネイサンを助け…という風に。昨日、ネイサンがリンクでミハルにジャンプの話をしていたが、見せたかったよ。(「情報が統一されているので安心できますね」とのジョナサンの意見に)その通り。ここ(レイクウッド)に来た時、専用リンクが欲しいと言った。特別扱いを求めたわけではなく、リンクの方針を固めるためだ。リンクでは基本ルールが決めてあり、いつ、どんな練習をし、どう行動すべきか門下生はみな分かっている。誰かが曲かけを行う時はリンクを譲る、ジャンプ練習の際は邪魔にならないよう距離を取るなど、簡単なルールだ。朝のウォーミングアップで氷の硬さやブレードの感触をチェックする事など、生徒らはみんな知っている。そしてたくさんの知識が先輩から後輩に伝えられる。
門下生の組分け
それまでどんな指導を受けていかによって分けている。レイク・アローヘッド(レイクウッドに移り住む前、コーチをしていた町)に来ていたエヴァン(ライサチェク)は、とても練習熱心だった。今は練習熱心なアダムとアシュリーだが、門下生になりたての頃はそうではなかった。
アシュリー・ワグナーとアダム・リッポン
アダムもアシュリーも時々来て手伝ってくれる。グループ練習を見て欲しいが、二人とも今は忙しそうだ。きっと、また来るだろう。二人に会いたい。二人がいると雰囲気が明るくなる。ネイサンもよく手伝ってくれたが、もうすぐ行ってしまう。この3人は、とてもいいグループだった。お手本になり、よく助けてくれた。彼らが私の言う事をよく聞くので、みんな見習っていた。素晴しいよ。
・アダムの成功
門下生になった当初、アダムは方向性を模索して苦しんでいた。私は、そんな彼を支えていた。なぜ滑るのかと聞くと「大好きだから」と言う。「フィギュアスケートは君の本分でもある」と私は言った。そう認識させた上でこう言った。「好きなだけなら公共リンクで楽しく滑ればいい。何時間もリンクにいるのになぜちゃんと滑らない?それならビーチに行け。ここはカリフォルニアだ。その方がずっといいだろ?」(D&J笑う)それからアダムは練習に身が入るようになった。そうやって成功を掴んだ。そして今、みんなに愛されている。そうなって欲しいと願っていた。とても嬉しい。
・世選後のアシュリー
(2016年のボストン世選で銀メダル獲得後、苦労した原因は練習不足か?と聞かれ)
確かにアダムほど練習に身を入れていなかった。アダムの方がハングリーだった。アシュリーは自分の目標を達成したのだろう。私はまだ上に行けると後押ししたが…。仕方ない。24-25歳と言えば引退してもおかしくない年齢だ。二人が私のもとに来たのは23-24歳だった。アシュリーはよくやったと思う。
ミシェル・クワン
(指導していた頃のミシェルはハングリーだったかと聞かれ)
ハングリーだったかどうかは分からない。だが、非常に意識が高かった。問題は健康面だったが、それ以外、全く問題はなかった。完璧だ。練習もしっかりやっていた。人より少なくやって多くをこなす、有能な選手だった。
ジェフリー・バトル
かつて私の門下生だった。ジェフは好きだ。人としてもいい。手助けしてくれるし時々、門下生にプロを作ってくれる。いつも礼儀正しく、私にも丁寧に接してくれる。今でも直立不動で頷きながら私の言う事を聞いているのが可笑しい(笑)。
サーシャ・コーエン
知らないと思うが、私が最初にサーシャ・コーエンを指導したのは彼女が14歳位の頃だった。ジャンプを教えていた。米国でコーチとして正式に働きだす前の事だ。渡米したのはその後になる。アイスショー出演のためサンバレーに3週間滞在中、サーシャも来てFやLzを教えた。サーシャをよく指導していたが、その事を知る人は少ない。最初、サーシャの依頼を断ったところ、(サーシャのコーチ)ジョン・ニックス本人が会いに来て、是非にと指導を頼まれた。驚いたよ。ジョン・ニックスに会えて興奮した。
*****
以上です。
みなさんのご感想、興味深く読ませていただきました。
YouTube動画のコメントを読むと、女子の4回転ジャンプに対するアルトゥニアンコーチの考え方に賛否両論ありました。その通りだ、健康第一!という肯定派。否定派は、女子の体に悪いジャンプなら男子はどうなの?ネイサンも小さい頃から跳んでたんじゃ?ダブルスタンダートでは?これって性差別では?
私は、健康のことも心配ですが、否定派の意見にも一理あると、今、考え中です。みなさんはどうですか?
ジャンプの矯正と言いますが、つまり本田選手は濱田コーチのもとで、誤ったジャンプの飛び方を学んでいたということですか?
どのスポーツも基本的なことは教える事柄は同じだと思っていましたが、コーチによって何が正しいかの判断が違うということは、やはりコーチ選びって重要なんですね。
濱田コーチのところには宮原選手いますが大丈夫なのでしょうか?
真凜ちゃんの凜・・・さん、
字が違ってる事に全く気付いてませんでした。これまで何度も間違えていたとは(><)。教えてくださったおかげで、これから正しく表記できます。ありがとうございました!
FSFさま、本当に連日の素敵な翻訳をありがとうございます!
いま終電車の中なんですが、人身事故の影響で停まってしまって
います〜(^^;;
女子の高難度ジャンプについてのコメント、確かにちょっと
ダブルスタンダードぽいですね。
男子でも同じ問題があると思います。
FSF様、又すごいスピードで翻訳追加の11番に、又してもこのコーチのいぶし銀のような無限に蓄積された豊かな経験から溢れる言葉の数々!!!お陰さまでゆっくり勉強させて頂きます!
そうか、ISUが突然に「ルール改正」って言っても、矯正に何年もかかる選手達にとって、たまったもんじゃないですよね!真央ちゃんも苦労したんだネ!
いろいろコーチの見解からフィギャを見る違った面白さを発見中!
フィギュアは技術と芸術との統合スポーツ。ロシア女子が公式に4回転飛んだそうだけど、そんな時代になったって思った。唯、やっぱり技術が先走るとゆがみが生じる。年齢がかさむと飛べなくなる。聞えは悪いが「使い捨て」みたいな。。(メドベ選手がロシアを脱出した理由も分かる。)ISUにはそこの所を正当に研究判断し、きちんと一定の規律を作って欲しいなあ。
FSF様追加の翻訳ありがとうございます!!面白くて楽しく読んでます!!
仮にラファエルの元に4回転の跳べるジュニア女子でも現れたならネイサンのように話しは違ってくると思うな。
きっと理屈はそうでも本人次第なんでしょうね…とネイサンの構成見て思いました
まだ4回転で体がボロボロになった女子が複数人と出たわけではないので、そういう例が沢山出る迄はジュニア女子の4回転に反対はないです
4回転より深刻に見えた女子のジャンプの後半固め打ちは近年続出しててプロバランスが崩壊してて疑問だったのでルール変更があって良かったなと思いました
ラファの意見、ダブスタですかね。
確か、今年のISU総会で五輪参加資格の年齢引き上げ案が出された時、どこかの記事で、ラファが本当はネイサンが18歳前に4回転を跳ぶことは反対だった、というのを読んだ記憶があるのですが(記事名は失念しました…)。
TSLとのインタビューでは言い忘れただけなんじゃないのかしら。
元々は、ネイサンが18歳以降容易に4回転に移行できる方法で3回転の練習をするために試しに1度だけ(4回転)を跳ばせるだけのつもりだったのに、うまくできちゃったもんだからネイサンの家族がラファの意見を聞かずに跳ばせ続けた。構成変更も家族が決めたと(ネイサンは家族の名誉のために、あくまで自分の意志だったといってますが)。
怪我もそのせいだけど、彼の家庭の文化的事情があるから自分にはどうしようもなかったと。(インタビューでも米国ではコーチはアドバイスするだけ。強制できたらどれだけ楽か、と言っているのは、暗にこのことも含まれているのかな)。
そして今はもう18歳過ぎたから、本人の好ればいい、と(ちょっと都合いいなあとも思った)。
その記事を読みながら、ああ、では、今はまだ18歳未満の真凜やウンスは、本人が望んでも、ラファの方針で高難度ジャンプはやらせてもらえない(ネイサンの怪我で懲りてるだろうから)。真凜など、国内のライバルが3A4回転入れると宣言しているのに、今季はどうしたって勝てないのかも、とがっかりした記憶(そもそも改善するところが多くてそれどころじゃないけど。一方で18歳以上の太一に少し期待)。
それでも、自分はラファの意見にほぼ賛成です。
今跳べてる選手の体も心配だけど、なにより、1人が跳び出すと他の選手や親が功名心から自分も自分の子供もとなって、十分なトレーニングや技術指導を受けないまま自己流で無理やり跳んで大怪我する選手が続出する可能性があると思うから。
年齢差体型差の不公平さもあるし、選手を使い捨てしてもあまり非難されない人権軽視の国の選手と、人権擁護のため、法的に選手に無理をさせられない国の選手同士が同じ土俵で戦うのもまたアンフェア。
と、個人的には思います。
オーサーも、若い時の一時の成功のために、その後の人生を車いすで過ごすことになっていいのかといってなかったかしら。
でも、米国スケ連は、3Aが跳べるまだノービスのアリサ・リウのような選手のために基金を立ち上げて重点的に強化すると言っているし、そのために今リンクスが建設中の新リンクの一部を第2のナショナルトレセンにして、そこのアカデミーの頂点にはラファが就く予定とか、なんか色々わかりにくいとこもあるんですよね。
ISUが医学的根拠に基づいてバシッと若年層の高難度は禁止(もしくは年齢制限変更)としない限り、コーチは現行ルールに従うしかないわけで、本心と行動に矛盾が出るのは仕方ないんでしょうねえ。
ご多幸の中、ご感想とご意見をいただき、誠にありがとうございます。私も管理人様には、この場を提供していただいて感謝感激雨燦燦でございます。おっしゃる通り、人とコミュニケーションをとるのが、苦手でございますので、どうしても、このような形になってしまいますが、少しでもお役に立てるように、私なりに頑張ってまいりますので、これからも、ご指導程よろしくお願いいたします。幸いにも、まだ強制削除はありませんが、先日書き込みが、翌日に判定されたことがございました。前は良くても、今はダメというのは、よくあることなのでこれからも注意しなければならないと思います。不器用なので、あまり多く書き込はできませんが、質でがんばりたいと思います。
それでは、聴いてください。水前寺清子さんで「ありがとうの唄」
FSFさん、いつもいつも わかり易く丁寧な訳(しかも早い!)をありがとうございます。
(お盆休み中は 書き込み出来ませんでしたが、前のTSLの記事もありがたく読ませて頂きました。)
ところで、元のインタビューでのニュアンスがよくわからないので 的外れなら申し訳ないのですが、もしかして ラファエルコーチは 真凜選手については 暗に前コーチの批判をしてる…のでしょうか?
実はこのブログ以外の所でも 他の方のTSLの訳(真凜選手の部分)を読んだのですが、同じような印象を受けたので 少し気になりました。
真凜選手のジャンプが昨季あまり安定しなかったのは、技術面とメンタル面で 濱田コーチの指導とマッチしなかったという可能性もありますが、選手自身の身体の成長によるものなのかなという気もします。ジュニア時代は 明らかに優位に加点が付くようなジャンプを跳んでいたわけですし、濱田コーチのことを Queen makerと呼ぶ人もいたくらいなので…。
(素人ですが、濱田コーチが「間違ったジャンプ」の跳び方を教えているとは 私には思えないです。それだったら3Aを跳ぶ紀平選手はどうなるでしょう?彼女は世界的に見ても 相当稀有な才能を持ったジャンパーと思います)
まあ それはさておき、私は個人的には 真凜選手の演技で素晴らしい特徴の1つは
「良質なスケーティング+流れの途切れないシームレスな演技」だと思っています。
これは 元々持ち合わせている表現力+濱田チームの細部まで行き届いた演技の丁寧さに、持って生まれた華やかさと 彼女の良さを生かすプログラムが合わさって作られた、他の選手には真似のできない真凜選手の素晴らしさだと思うのですよね。
コーチによってやり方は違いますし、年齢に合わせて ジャンプの跳び方も変える必要があるのかも知れないし、年齢が上がっても活躍したアシュリー選手やマライア・ベル選手の指導にも定評があるラファエルコーチのことだから ジャンプの矯正というのがうまく行くと期待したいですが、彼女の「流れを感じさせる演技」という持ち味だけは 決して失って欲しくない部分だと思っています。
(正直言うと、ラファエルコーチのところは 高さのあるジャンプを教えるのは上手だけど ジャンプの流れという点では今ひとつなのと、一歩が伸びるスケーティングを教えるのはあまり得意でない…というイメージがあるので。ゴメンナサイ!)
真凜選手は、その持ち味を失わないまま もう少し安定して高さのあるジャンプを跳べるようになれば 鬼に金棒じゃないかと思っているので、頑張って欲しいです。
若いうちからクワドを跳ぶ影響については、以前 ハビエル選手は「若いうちから(練習と試合で)何十本ものクワドを何年間にもわたって跳び続ける負担を考えた方が良いのでは」というような苦言を呈していたと思いますが、でも今季ジュニアデビューするゴゴレフ選手なんて、クワドを跳び始めたのは10〜11歳ごろではなかったでしょうか?
同じクリケット所属でも クワドへの取り組み方が全然違うわけですし、教えれば 皆がクワドを跳べるようになるわけでもないので、ぶっちゃけてしまえば 習得のスピードは個人差の方が大きいのかな?という気もしなくはないです。
おそらく 体質も同じように個人差もあるので、今クワドを多く跳んでいる選手たちの健康が将来保てるかどうかは 何年も経って複数の選手の健康状態を見ないと きっとわかりませんよね。。。
ただ、どうも私には ネイサン選手もヴィンス選手も フィギュアとは関係ないセカンドキャリアにも目を向けているからか(つまりそれだけ他の才能もあるってことですけど)、何を置いてもフィギュアスケートを第一優先…と考えているようには見えないので、おそらく 身体が悲鳴を上げるほどになったら 違うジャンルへ転身するつもりなのでは…?と なんとなく思っています。
(もっと言うと、米国の選手は全般に セカンドキャリアは別路線に行く人が多いような^^;)
FSF様わかりやすい訳をいつも丁寧にありがとうございます。
アシュリーは、濱田コーチに行ってたらどうだったでしょう。たくさんの刺激があったかもしれません。依頼海外からもかなり受けている話は聞いていますが、本田さんの妹達含め手一杯のようですね。宮原さんはオフアイスを高志郎君と海外で一緒に行い彼は
トップアスリートから洗練されたトレーニングや高い意識を学んだと言ってますね。白岩さんも頑張っています。
環境は、それが果たす役割としてメドベデワがエテリコーチの所で、ナンバーワンとして扱われなくなるとラファエルコーチが仰っているように本田さんも宮原さんや紀平さん白岩さん、そして練習を褒められていた妹たちの中で自分の場所を求めたとも思います。真央ちゃんのソチフリー伝説の演技は、ずっとマチコ先生というか名古屋で培った伊藤みどりさんや宇野選手みたいな環境と佐藤先生の功績が大きいかと。相性やタイミングもあり勿論名コーチの一人としてラファエルも君臨していると思います。
FSF様
ラファエルコーチのT S Lをここまで翻訳して下さって
本当にいつももありがとうございます。
15年のT S Lの動画の翻訳も合わせて
しっかりと読ませて頂いています。
ラファは変わらないですね、ホント面白いです。
18番の S ATOさんのお話も
何処かの記事で読んだことがあります。
今はスタッフが増えて施設も充実していて
真凜ちゃんがびっくりしたと言ってましたがそうなんですね。
もっと小さな規模だと思っていました。
ゴゴレフ君が練習していたというのもびっくりです。
ヴィンスもネイサンも悲鳴をあげるほどになったら
違うジャンルというのはどうなるのでしょうか
ヴィンスは30歳頃まで続けたい言ってるそうですし
今のネイサンはスケート以外に出来ることは無いと
めっちゃ楽しそうですから上手くやれるといいです。
新ルールでは「頑張り過ぎなくていいんだ」と言ってましたよ。
ウンス選手はジャンプは触らず他のディテールを伸ばしていると
聞きましたが ショートのみですが変貌ぶりにびっくりしました。
真凜ちゃんがどう変身するのかスケアメがめっちゃ楽しみです。
トルソワ選手のクアド3本に驚愕してどうなんだろうと
疑問でしたが演技を見たら吹っ飛びました。
無事を祈りつつ、楽しみにしています。
みなさんの感想、とても読み応えがありました。しかし、よくご存じですね。色んな情報をいただき、すごく参考になりました。ありがとうございます。
18 Satoさんの「ラファが本当はネイサンが18歳前に4回転を跳ぶことは反対だった」という記事は知りませんでした。このTSLインタビューだけ聞くと、「女子はダメ」と言っているようにも聞こえるので、アルトゥニアンコーチの考え方を知るのに貴重な情報でした。ありがとうございます。
男女とも成長期を過ぎるまで高難度ジャンプを跳ぶべきではないとコーチは考えているが、ネイサンに押し切られてしまった、という感じですね。うーん、これをダブルスタンダードと呼べるか呼べないか?難しいところですが、少なくともご自分の主義主張とは矛盾してるのでタブスタと言われても仕方ないかな、と思います。
ダブスタと言えば、成長期における高難度技の練習は、フィギュアスケートでは問題視されても体操では問題になりませんね。体操は、そういう過酷なスポーツだと認識されているからでしょうか?フィギュアスケートも高難度技に挑む若い選手が増えれば体操のようにそういうものだと認識されるのかもしれません。過酷さを増しているフィギュアスケートにとって今はちょうど転換期なのかも。
最後になりましたが、最初の18分を含むアルトゥニアンコーチの部分をまとめてみました。意訳、省略ありです。ご参考までに…。誤訳の訂正、補足など、お気づきの点を指摘してもらえれば、助かります。
*****
経歴
有名選手を出すようになったのは、ここ10年程の事。その前に30年のコーチ歴がある。私自身、良いスケーターではなかったので苦労した。一人前のコーチになるまで色々あった。いいコーチになりたくて、来るものは拒まず誰でも教えた。対戦相手の方が強くて勝てなかった。悔しかった。とにかく周りから技術を盗んだ。勝てなかった頃は、教え子を勝たせることしか考えていなかった。何かないかと一生懸命探していた。
私にフィギュアスケートを教えてくれたのは、コーチとしてペテルブルクからジョージアに来ていたロシア人女性だった。当時、モスクワで教えていた名コーチの友達だった。彼のことは今でも世界一のコーチだと思っている。だが、彼女の指導は全く違っていた。
技術はどんどん変わっていた。言った通り、私の教え子はあまり才能に恵まれてなかったので、巧く滑らせるために技術を独学せざるを得なかった。そうやって30年が過ぎ、才能ある生徒と出会った。中でもミシェル(クワン)は最高だった。彼女も私に満足してくれていたらいいが。
Q:ソビエト政府の命令でタラソワに付き指導法を学んだと履歴にありますが?
いや、タラソワとは同じアリーナで8年間一緒に働いたが、当時の彼女はアイスダンスのコーチだったので。五輪チャンピオンのベステミアノワ&ブキンを指導していた。同じリンクで指導していたが、当時のソ連邦政府はシングルとアイスダンスの練習を完全に分けていて、リンクの使用時間も違う時間に充てられていた。タラソワとはいい友人だった。アイスダンスを指導しているがダンスが巧いわけじゃない。私も…(聞き取り不能)が巧くない。彼女とは30年来の友人だ。今も話をしては最新情報をもらっている。
Q: 何がタラソワを名コーチにしたと思いますか?
現役を引退したから。それと、希代の名ホッケーコーチだった父上の遺伝だと思う(笑)。
Q; 現役時代に得意だったジャンプは?
選手時代の私は、ループまでしか跳べなかった。セルゲイ・ボルコフは友人だが、彼はサルコーだけでロシア初の世界チャンピオンになった。(指導技術と)自分のジャンプは関係ない。ジャンプ技術は、生体力学、スケーティング、エッジの使い方などの知識や経験で培ったもの。
Q: 現役時代の自分を自分でコーチできていれば、と思いますか?
ああ(笑)。いい質問だ。私の指導というより、進んだ技術が欲しかった。今の技術は昔とは全く違う。昔は教え方も違った。私はコーチの言うことをよく聞く選手で、それがいけなかった。当時は技術が未発達だったからね。コーチはベストを尽くしてくれたが。何でもコーチに言われた通りにやろうとしたが、コーチに正しい知識がなかったので…うまく行かなかった。これは今もある事だ。生徒が間違った指導を受けているのをよく見かける。生徒は何度もトライするが、うまく行かない。コーチも生徒も正しいやり方を知らないからだ。もっといい方法は、ある。それが技術だ。人生でやりたいことをやり、なりたい自分になり、全て手に入ればいい。だが、それには効果的な方法があるということ。方法は一つじゃなく、色々ある。
コーチの育成
いいコーチを目指して来たが、まさか自分が幾人もの世界チャンピオンを育てる事になるとは思っていなかった。望んだものは全て手にした。私は今、コーチ育成アカデミーの開校を計画中だ。私のアイデアはこうだ。コーチと生徒を招く。まず、私の門下生を相手に、私がコーチに指導法を教える。その後、隣のリンクに移って、今度はコーチが自分の教え子を相手に、指導がうまく行くか試す。私はコーチの生徒にはタッチしない。コーチが生徒に教えているところに私が分け入ってコーチに偉そうにすれば、コーチと生徒の関係がぎくしゃくしてしまう。だから私は介入しない。
コーチに必要な目は鍛えることができる。フィギュアスケートに関する知識も教えられる。それほど難しい事じゃない。簡単だ。基本は物理と生体力学。それと体形の見分け方。バイクも形が違えばカーブの曲がり方も違う。基本的なルールはある。だが、体形に個人差があるので常に柔軟でなければいけない。違うバイクに乗るとカーブの曲がり方が違うように、アプローチが変わる。肩幅が広かったり腰回りが小さかったり、その逆もあるが、体形に合わせて調整が必要だ。だが、基本は踏まえる。基本を応用して個人に合った指導をする。
どこかで変な指導を受けて体力も技術も無い生徒は取りたくない。だが確かなコーチのもとへ行くよう助言はできる。だからコーチを育てたい。一人の生徒に助言を与えるより(多くの生徒の助けとなるよう)コーチを育てたい。コーチが生徒に教えがちな、よくある間違いというものはある。だから、避けるべき間違いについて、また、モーホークや3ターンなど基本を教えたい。最初は簡単な基本から始め、それから応用を教える。
米国だけでなく世界中のコーチを教えたい。以前の私は勝ちにこだわっていたので、自分の技術についてあまり話すことはなかった。だが、今は分かち合いたい。やりたい事は全てやったと思う。61歳の今、譲り渡す時が来た。
グレートパーク(カリフォルニア州アーバイン所在の大型スポーツ・文化施設)にダックス(プロアイスホッケーチーム)の新しいリンクが建設中だ。リンク4面の巨大施設。そこに教室や理学療法士付きの専用リンクを借りてコーチ育成アカデミーを開きたい。ダックスのコーチとこの件について話したが、今は検討中で、まだ最終決定に至っていない。決定権はコーチにあるのでお任せする。
門下生の欠員
残念ながら手元に幼齢の米国人選手がいない。小さい子供は見ないと思われているかもしれないが、そんなことはない。ネイサンを強くするのに8年かかった。強豪選手を育てるには時間がかかる。
Q. 今後の目標は?
世界チャンピオンの育成。再び世界タイトルを目指す。
Q. 緊張しやすい方ですか?
大抵、緊張しないが、試合によっては見ていられない程、緊張する
Q. フランク・キャロル氏が80歳で引退発表。あと20年コーチする気は?
私は違う形で引退したい。話したように私は生徒を指導するよりコーチを育てたい。その方が価値ある事だと思う。私の経験を分かち合えると思うので。
Q. コーチしてみたい選手は?
手助けできるなら誰でもコーチしたい。それがカルマだと思っている(D&J笑)。みんなの役に立ちたいが、口は閉じた方がいいね。
Q. 現役時代に憧れた選手、好きな選手は?
私が現役の頃ではないが、好きな選手はカート・ブラウニングやスコット(ハミルトン)。(ブライアン)ボイタノもとてもいい。全員お気に入りだ。ロシアの選手は好きじゃない。滑りが巧くない。だが、ヴィクター(ペトレンコ)、(アレクセイ)ウルマノフ、イリヤ(ク―リック)はとてもいい。基本的にカート、スコット、ブライアンだ。
*****
以上です。
Da Capoさん、
>もしかして ラファエルコーチは 真凜選手については 暗に前コーチの批判をしてる…のでしょうか?
別の訳し方だと印象が違うかもしれませんね。その部分を直訳すると「6年間かけてついた癖を2か月で直すのは無理」濱田コーチを暗に批判しているとも、特に他意はないとも取れる気がします。「暗」の部分は、受け取り方次第ですね。ラファエルコーチの真意は本人しか分かりませんし。
今はあまり時間がなくて長文を書けませんが、Da Capoさんの濱田コーチや本田真凜選手のジャンプに関する分析、とても興味深く読ませてもらいました。
ウンスのジャンプは矯正不要でまりんのジャンプが1から作り直しなのは、もともとウンスのジャンプがラファエルコーチ仕込みだからかも。
ウンスは、完全移籍はまりんと同時期だけど、ジュニア時代から先日のコリヤダのように短期でラファエルコーチのところに行ってましたよ。
他のコーチだけで育てられた選手は、ワグナーにしろリッポンにしろベルにしろ、ジャンプの安定は増しても癖まではなかなか直せていませんよね。
移ってきた年齢が高すぎたせいもあるから、まりんは若い分直りやすいだろうけど、3月にトライアウト受けるまで他所のコーチの指導を受けたことがない(かなり小さい時を除く)ほぼ濱田組完全純粋培養だから結構大変でしょうね。
ところで、濱田組のジャンプの指導法、間違っていません。
でも正しいともいえないかも。
基本は正しいけど、応用があまりできていない印象です。
濱田組の選手はジャンプの跳び分けも完璧だし、飛距離があってどの選手も着氷の流れが素晴らしいけど、体が大きくなるにつれて高さがなくなり回転不足が増えます。
濱田組のトップ選手の中で基本問題なく跳べているのは、ノービス・ジュニア時代のまりん、シニアは宮原、紀平、白岩と、全員150㎝前後の小柄な選手。
160㎝以上になったまりん、岩本こころ(結構高さのあるいい3Lz3Tが跳べる選手だった)、男子の選手などは、シニアでは回転不足だったり高難度ジャンプ習得に時間がかかったり。
まりんと一緒にラファエルコーチのところに移った兄の太一ですが、春のアイスショーの時に4回転を跳んでいたようです。
本人に聞いた人によると、成功率は別としても、一応2種、1種はコンボもつけて降りられるようになったそうで、濱田組にいたときは何年頑張ってもできなかったのに移籍して1か月でって結構凄いなと思いました。
太一の場合は長年の成果がたまたま今出始めただけかもしれないけど、全般的に見て、濱田組はラファエルコーチが言う各選手の体型に適したジャンプ指導は苦手なのかもしれません。
恐らく濱田組はジャンプコーチの田村先生がまだ30代と若いので、時間的にエースで小柄な宮原に適したジャンプの跳び方の研究が優先で、まだ大柄な選手に適した指導方法確立にまで手が回っていないのかも。
田村先生は、自分のできなかった3Aを生徒に跳ばせられるようになったりもしてなかなか優秀ですが、まだまだ指導者としてはひよっ子クラス。
対してラファエルコーチは御年61歳その道の大ベテラン。
培ってきた経験や時間の量だけ引き出しも多くて当然です。
どちらが正しい正しくないとかじゃなくて、人間だもの(byみ…)、指導者にも力量や経験の差があって普通ってことですね。
ラファエルコーチだって、長年いろんなトップ選手を育てた経験の中での成功と失敗から学んでの今でしょうからね。
ネイサンの怪我があったから、若年層の高難度ジャンプは禁止すべきという結論に至ったんだろうし。
体格に合わせて指導法が変わるなら選手も成長に合わせてコーチを変えるというだけで、どちらかが間違っているとかネガティブに考えなくていいんじゃないですか。
ラファエルコーチが、ワグナーやリッポン、チェンを良い仲間と呼び好感を持っているのを知ってなんか嬉しい!喜怒哀楽を分かち合う師弟関係でいながら、彼らは一門を引っ張ってくれる頼もしいティームに成長したのね!なんかワグナーにしてもリッポンにしても、爽やかで見直したし、これがアメリカのオープンで和気藹々とスポーツをする精神に通じるものがあるなあと思った。
FSF様のお陰でこんな話しを知ることができました!ありがとうございます。
翻訳ありがとうございます。
大変興味深い内容でした。
ラファエルコーチを初めてみたのは、随分前ですが1996~7だったかな?美形で有名だったアレクサンダー・アブト選手(ヤグプルにならぶロシア3番手)のコーチをしていたときです。
当時はやぼったいジャンパーを着て、冴えない貧しそうな印象で(すみません)、全くの無名でした。
アブトは才能ある選手で、3A3ループという未だ公式試合でみたことない(多分)非常に難しいコンボを決めていました。ラファコーチの手腕が良かったのかもしれません。
ただ、当時はタラソワやミーシンの派閥が非常に強く、アブトがなかなかメダルに食い込めなかったのは、ラファコーチの力が弱かったからかな・・という印象もしました。
ちなみにアブトがソルトレイク五輪で踊ったのはラファコーチの母国アルメニアの曲でした。
後に渡米し、今日のようにアメリカ人を教えるとは予想外でした。ただ、ロシアでコーチとして生きるのは難しいでしょうから、結果的には成功です。
>ロシアの選手は好きじゃない。滑りが巧くない。
おいおいww
確かにそうなんですよね。ジャンプはいいんですけど。
ペトレンコ、ウルマノフ、ク―リックは美形なので好みなのかな?
ヤグ・プルの名前がないってことは、やはりミーシンとは当時いろいろあったのかもしれませんね。自分の教え子アブトが冷遇されたこともあり、ヤグプルは好きじゃないのかも(笑)
サーシャ・トゥルソワがクワドを数本跳んでいますが、サーシャ自身インタビューで「みんなに心配されるけど、十分な練習(筋トレなど)のもと臨んでいる」と答えていました。
女子は思春期・性長期(14-18歳)になれば高難度のジャンプを新たに習得するのは困難です。今しかないのかな、と思います。ファンとしてはケガしないことを望むだけです。
そうそう、ロシアはシニアの年齢引き下げを提案してましたっけ?
ラファは反対に年齢引き上げ18歳?なんですね。
ただ、18歳では遅いかな・・と思います。
翻訳ありがとうございます!
アメリカではスケートはあくまでアマチュアでのスポーツとしての割り切りが強く、セカンドキャリアへの意識がとても高いですね。
アメリカは想像以上に学歴社会なので・・・。
私個人的には、女子のシニア以降の年齢引き上げは賛成です。
結果、4回転や3Aを跳べる選手が減ってもかまわないと思っています。むしろ女子に4回転は必要ないとすら思っています。
男子でも最早サバイバルゲームのように、怪我をしなかった人が勝つというような生き残り戦になる可能性が高い4回転。
才能のある人が次々と怪我で脱落しているのを見るのは辛いです。
小さな細い枝のような少女が4回転を跳んでいても、私はそれはフィギュアスケートの良さとは思えないし、16歳でシニアに来て、とくに生まれつき女性への成長が遅い少女がポンポンと3Aや4回転を跳んで優勝して、翌年から脱落していく・・・という競技に喜びを感じない。
3~4歳から初めて17歳で終わってしまうスポーツなんて。
男子も本数に制限が必要かなと思っていたくらいです。
練習をさせてもよいと思いますが、1日あたりの本数制限をするべきだし、ジュニアはプログラムへの導入を制限する形で良いかと思います。
確か、安藤美姫さんが4Sを跳んでいたときは、1日10本まで、という制限をかけていた、と聞いた記憶があります。
FSFさん、いつも翻訳ありがとうございます。m(__)m
ありがたく読ませていただいてます。
自分にはフィギュアスケートは身近なスポーツではなくTVで見るスポーツ。
選手育成の段階から殆ど知らないことばかりです。
技術やコーチング、ルール改正で思うこと、教え子達のこと、アルトゥニアンコーチ自身のこと等々、とても詳しく興味深いものでした。
ルール改正する側(ISU)は全くフィギュアを知らない人達なんだろうか(そんなのアリ?)と、ちょっと思ったりして。。
新ルールもどんな感じになるのでしょう。
真凜ちゃん、頑張れ!。
先程2019ワールドのミハルさんのインタビューで真凛ちゃんの名前が出て本当にチーム全体で楽しみにしていました。
いつのまにかいなくなって…末っ子のさらちゃんはどうだったのかな
私はウンスちゃんが特に楽しみで、真凛ちゃんはお父様が直接頼んだおられましたね
厳しいラファの元でも良いと言ってたウンスちゃん。
スケーティングがどうこうとか高さとか筋金入りのネイサン嫌いはたぶんネイサンが勝つとラファが言ったからかな(ゴメンナサイ)
ラファのところではクワンさんもバトルさんもおられましたし、マライアはスケーティングが格段に上手くなりましたよね
真凛ちゃんが言ってましたがフィジカルトレーニングもSSやスピンまで専門のスタッフがアーバインはついています。
あとシェイさんも指導しておられます。
米国スケ連の第2のコロラドだと思いますが、寮があれば良かったですね
あとネイヴィンのセカンドキャリアのことは「トップアスリートが一流大学を選べる理由」の記事で理解できます。
すごいトップアスリート達が当たり前のようにセカンドキャリアを目指しているのがよくわかります。
陸上のサニブラウン君、英語はもちろんセカンドキャリアを考えて大学に留学していますよん
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