TheSkatingLesson.comのデイヴィッド・リースとオペラ歌手のジョナサン・ベイヤーがさいたま市開催世界フィギュアスケート選手権2019の見解と予想を語った動画です。映像は「TheSkatingLesson.com」のYoutube公式チャンネルで公開されたものです。
さいたま市・さいたまスーパーアリーナ開催、2019年世界フィギュアスケート選手権の出場選手、日程・結果、動画リンク。男子シングルはネイサン・チェン(アメリカ)が優勝、羽生結弦2位、宇野昌磨4位、田中刑事14位。女子シングルはアリーナ・ザギトワ(ロシア)が優勝、紀平梨花4位、坂本花織5位、宮原知子6位。
(ペア:22分辺り~、アイスダンス:36分10秒辺り~、男子:54分35秒辺り~(羽生:58分10秒、宇野:59分25秒)、女子:1時間6分15秒辺り~)
“TSL 世界選手権2019プレビュー (2019/3/16-英語)” への3件のコメント
男女シングルの部分をまとめてみました。省略・意訳ありです。ご参考までに…。誤訳の訂正・補足などお気づきの点をご指摘くださると助かります。
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男子
ネイサン・チェン
全米と同じ演技構成で行く。病気(訳注:風邪)でラフ(アルトゥニアンコーチ)と練習できていないので、演技構成を変えないのはプラスだと思う。大きな賭けに出ず、ノーミスを目指し世選に臨むことになるが、ネイサンにとって得策となるだろう。
全米で見せたネイサンの最高の演技に対し、ラフは「前にやったことのある構成だ」と発言。特に満足している様子ではなかったので、もしや世選は構成を上げるのか?演技は安定するのか?と心配だった。だが、構成は変えないとネイサン自身が言っている。ラフの発言はロシア流の建前で本音ではなかったのだろう。肝心なのはGOE。難度を上げても出来栄えが悪ければ何もならない。
ネイサンにミスが無ければ、羽生は苦戦するだろう。だが、ネイサンに勝つのは不可能ではない。基礎点が高い4回転を跳ぶネイサンがノーミスなら勝負の予測はちょっと難しくなる。羽生はノーミスかつPCSで勝たなければならない。そうなると後でPCSを巡りどちらが上か大激論になるだろう。二人とも基礎点がとてつもなく高いので、ミスとGOEが勝敗を分けると思う。
ネイサンが病気になったタイミングが気がかりだ。全米後、ネイサンは休養を取っていた。休みを取るのは当然で、通常その後、体を鍛え直す。ところが、世選に向け鍛え直す時期に体調を崩していた。そこで少々遅れを取ったかもしれない。今季、ラフから離れている間、技術が少し落ちていたのでラフとトレーニングできていないのも気になる。ラフと5週間を過ごすことで取り戻していたが。
ネイサンは来季、フルタイムでクラスを取るか否か、まだ決めていない。早く決まればいいが。今季の経験からバランスの取り方を学んだだろう。ネイサンは自立している。きっといい解決法がみつかる。それにイェールは特別優秀な学生に融通をきかせてくれると思う。
羽生結弦
怪我を癒す時間が取れて良かった。ここ2か月ほどは世選に向け腰を落ち着けて陣営側とトレーニングに集中できた。安定して取り組めたのは良い兆候だと思う。ネイサンには色々と迷うところがあるが、羽生に揺るぎはない。特に試合2-3週間前の滑り込みが大事だ。要は準備。羽生はよく準備できていると思う。後は、健康状態と自信、ネイサンとの頭脳戦でどんなリスクを取るかが決め手となる。
ネイサンと羽生は注目選手として世選に臨む。羽生は世選の金メダルを増やしたいところだろう。羽生vsネイサンの対決が見られるのは五輪以来だ。
宇野昌磨
もしネイサンと羽生が技術的に大きなミスをし、昌磨がジャンプを決めるなら昌磨に勝機があるだろう。優勝は、その場で誰が質の高い演技ができるかにかかっている。この勝負は是非、生放送で観たい。
ミハイル・コリヤダ
ミスなく決められれば、急浮上する。残念ながら期待できないが。
ジェイソン・ブラウン
今回で世選はまだ3度目。もっと出場数が多いかと思ったが。2016年は怪我のため出られず、2014年は全米でジェイソンの方が上位だったにもかかわらずマックス(アーロン)を出している。ジェイソンはこれまで世選でいい戦績を残している。ジャッジは高いPCSでジェイソンを支持している。トップ10には入るだろう。
コーリ(エイドコーチ)の元を離れ精神的に成長している。なかなか決まらない4回転を跳ぶだろうか?ミスしても跳ぶべきか?アダム(リッポン)がそうだったように4回転を入れると戦闘モードに入れて良いのでは?だが、ジェイソンはミスが少ないが、一つミスが出ると続けてミスってしまうタイプだと思う。生き生きと演じるジェイソンに観客が反応することで彼はさらに輝けるのだから…(4回転は入れない方がよいだろう)。羽生のPCSは凄く高いし、昌磨の動きは美しい。だが、ジェイソンには彼にしかない素晴らしさがある。独特のスタイルと個性を氷上で見せるジェイソンにジャッジは点を惜しまないだろう。
その他
キーガン(メッシング)はナム(ニューエン)に勝つだろうか?調子を上げているジン・ボーヤンはダークホースだ。タミー(ギャンビル)と濱田美栄が共にヴィンセント・ジョウの演技指導をしている。セカンドマークを上げるためだ。濱田美栄がキスクラでヴィンセントの隣に座るという話が出ているとか。実現するだろうか?フランス代表のケビン(エイモズ)はスライドなどでFSを盛り上げるだろう。ケビンはあまり注目されないようだがSPも良い。マレーシア代表のジュリアン・イー・ジージエの演技も楽しめる。ドノバン・カリーヨ、デニス・バシリエフス、ユニバーシアード優勝のマテオ・リッツォ、そしてコリヤダ。コフトゥンの棄権によりラズキンが繰り上げ出場となった。サマリンも出場する。控え選手になっていれば世選に出られたと思うと、アリエフに腹が立つ。サマリンよりアリエフが見たかった。
結論
日本開催ということと観客の反応を考えると、羽生が優勢だと思う。ネイサンはどこへ行っても観客を沸かせる。だが、観客はキングである羽生の優勝を望んでいるだろう。問題は健康面だけ。二人ともにノーミス演技というのはあり得ないと思うが、もしそうなら上位に来るのは羽生だと思う。
女子
ガブリエル・デールマン
細く見せるよう自分の写真を今も修整していると話題になっている。精神状態にかなり不安があると本人が言っていた当時と状況が変わっていない。心配だ。世選に出して大丈夫だろうか?なぜ出すのだろう?今、引っ込めるとデールマンは出場権を取り消された被害者だという話になるからだろうか?本人はおそらく出たがっているのだろうが、長い目で見て出場は見直した方が良いと個人的に思う。だが控え選手に枠取りを任せられないスケ連は難しい立場にある。このような状況なのでデールマンの演技は、必ずしも楽しみとは言えない。
米国女子の枠取りについて
米国女子は3枠を確保できるだろうか?上位二人の順位の合計が13以下でなければならない。6位と7位は難しいが、5位と8位なら行けそうだ。二人とも最高の演技を見せなくてはならない。心配なのは5位と9位、もしくは6位と9位になること。それだと3枠を逃してしまう。
ブレイディ・テネル
冒頭のコンビネーションの選択に勝負がかかっている。ノーミスを狙いルッツ+トゥで行くべきだ。今季を通して得たデータから明らかなように、ルッツ+トゥが賢い選択だ。経験から学ぼう。ルッツ+ループで失敗したら、おそらく大批判を受けるだろう。
ブレイディの気は変わらないようだ。真面目な選手なのでコーチの意見を尊重しているのかもしれない。コーチ陣はトップレベルで闘った経験が乏しい。彼らも学ばなければいけない。成功しないコンボを入れてはいけない。特に世選ではリスクが大きすぎる。
3枠目が取れれば来季はティン(クイ)やグレイシー(ゴールド)が、またはアシュリー(ワグナー)が復帰し、世選出場できるかもしれない。
エリザベート・トゥルシンバエワ
ダークホース。TSLはトゥルシンバエワに厳しすぎるとカザフスタンからメッセージが殺到している。演技を見直してみたが、エテリのもとで上達したものの滑りがまだジュニアっぽい。あちこちで脚が曲がっている。観客と繋がっていない。エテリ陣営で手厚い指導を受け、ブライアン(オーサーコーチ)のもとに居た時よりスピードが速くなっている。FSはデヴィッド・ウィルソンのプロより欠点をうまくカバーしている。オーサー陣営はトゥルシンバエワのスケーティングを上達させようとしたが助けにならなかった。
だが4回転ジャンプを成功させれば、トゥルソワ同様、滑りはあまり良くなくても点は出る。トゥルシンバエワはFSでコンビネーションを全て成功させるつもりだ。プレッシャーのかかる世選で全てを成功させるのは難しいと思う。おそらく四大陸で2位になったことで、彼女自身も陣営側も世選での躍進を期待しているのだろう。今季、最高のスタートを切ったトゥルシンバエワには驚かされたが、GPSで勢いがなくなり、四大陸で再浮上した形だ。それではちょっと心細い。
エテリ陣営でピラミッドの頂上に立っているのはトゥルソワだ。エテリは世界ジュニアで優勝したトゥルソワにだけ電話をかけたそうだ。それが事実なら、エテリらしくて最高だ(笑)。トゥルシンバエワは、エテリ陣営の2番手グループに浮上しつつある。カザフスタン代表で、プライアンの件もある。与えられるチャンスは多いだろう。
アリーナ・ザギトワ
エテリ陣営にとって今季、問題となったザギトワだった。だが、陣営はザギトワを支持し続けているようだ。(世界ジュニアに姿を見せなかった)エテリはロシアに残り世選に向けザギトワを鍛えていたにちがいない。ザギトワを何とか形にしようと頑張っている。世選で良い演技が見せられるだろうか?プレッシャーがかかり、エテリはじめ全員にストレスがかっている。
エフゲニア・メドベデワ
ダグ・ハウはメドベデワがメダルを獲ると言っていたが、そうなるとは思わない。最終グループに入り、5~6位あたりかと思う。もちろん、何事も不可能とは言い切れないので、ただの意見だが。
イム・ウンスとマライア・ベル
ウンスにとって初めての世選なので、いい経験になればいいと思う。少なくともルッツ+トゥなど最高のコンビネーションを見せて欲しい。ウンスはマライア・ベルとあまり変わらない演技を見せると思う。同じようなミスをし、同じような見せ場があり、順位も近いかと。二人とも同じ振り付けが好きだし(訳注:『シカゴ』を指すと思われ)、コーチも同じ、着氷に問題があるのも同じだから。
日本選手を含むメダル予想
有力メダル候補は(紀平)梨花と(坂本)花織だ。ザギトワ、サモデュロワ、メドベデワ、そしてジャンプが成功すれば演技の質とPCSで(宮原)知子がトップ5に入るだろう。熾烈な銅メダル争いになる。
色んな要素がからまり順位の予想が難しい。だが、梨花を倒すのは難しいだろう。花織は銀メダルが獲れそうだ。金かも。3位はサプライズが欲しい。ザギトワ…、メドベデワも可能か。
良い演技が見られるといい。熱く語れるエキサイティングな大会を望む。ザギトワの『カルメン』も、セリーヌ・ディオンプロ対決もある。準備オーケー!世界が楽しみだ。
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以上です。
FSF様
再度分かりやすく翻訳してくださり、
本当にありがとうございます。
女子ショートが終わったところですが、
これからじっくりありがたく読ませていただきます。
取り急ぎお礼をお伝えしたいと思い、
投稿させていただきました。
FSF様、お忙しい中、長文翻訳ありがとうございました。
見出しつきで見やすく、わかりやすく、スッと入ってきます。 世選前に読めて、面白さが増しました。
お2人の情報豊富なところはありがたく(特にアメリカ、ロシア選手)、見方や予想については同意するところが多かったです。
女子SP後に書いていますが、テネル選手、ルッツ+トゥにして(回転不足惜しい)言われた通り?。
米国女子の枠取り、
「6位と7位は難しいが、5位と8位なら行けそうだ。」
の微妙な予想に笑。 マライヤ選手SP素敵でした。
自分の好きな選手にこだわり過ぎず、今回紀平、坂本選手を金候補にあげています。 ここにザギトワ選手(SP差をつけ1位)絡んで、どうなるでしょう。
男子は三つ巴。 それぞれ病気や怪我明け。
時に辛口や特定の選手に厳しいこともあるけど、フィギュアが好きで選手にも愛情を持っていると感じています。 内容がわかることが、とても嬉しいです。
訳してくださるかたや、感想を書いてくださる方のおかげです。
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